2010年代半ば、「安くおしゃれな服が見つかる店」としてオシャレ女子たちが押し寄せた「ファッションセンター しまむら」。近年は業績が低迷を続け、客離れが噂されていました。

しかし、昨年の春、新型コロナの影響で3〜5月に売上高2桁減を記録した後、6月には127%に急回復。それ以降、“第2波”に見舞われた8月を除き、前年超えを毎月度キープしたまま2021年2月期を走り抜きました。

その「しまむら」を運営する株式会社しまむら(8227)は、2021年2月期決算で増収増益を見込んでいます。復活の背景には何があるのか、そして、この勢いはこの先も続くものなのでしょうか?

伸び悩みが続いていた近年の「しまむら」

アパレル業界も、新型コロナの影響で全体的に冷え込んでいる業界の一つです。「ユニクロ」のファーストリテイリング(9983)ですら、2020年8月期は後半でコロナの影響を受け減収減益となりました。

しまむらの場合はコロナ禍以前から、店舗数が増えているにもかかわらず総売上高が伸び悩んでいました。とはいえ、低迷しながらも、しまむらはメイン事業「ファッションセンター しまむら」を回復させる道筋を徐々に準備していたようです。そこへコロナ禍という商機が訪れたのではないでしょうか。

次にその道筋を、しまむらの事業の概要と業績の推移を追いながら、確認してみましょう。

全盛期がウソのような前年割れが続く

しまむらは、「ファッションセンター しまむら」をはじめ、カジュアル&シューズの「アベイル」、ベビー・子供用品の「バースデイ」など、国内外で約2200店舗のチェーンストアを展開しています。

2020年2月期末の店舗数は、しまむら1432店舗、アベイル319店舗、バースデイ297店舗。売上高は4015億円、500億円、540億円で、売上高の8割近くがしまむら事業によるものです。

続いて、2018年2月期から2020年2月期まで、3年間の業績推移を追ってみましょう。

売上高は、5651億円(前年比▲0.1%)⇒5460億円(▲3.4%)⇒5220億円(▲4.4%)と次第に減少幅が広がり、利益面では営業利益が429億円(▲12.1%)⇒255億円(▲40.7%)⇒230億円(▲9.7%)、当期純利益が297億円(▲9.6%)⇒160億円(▲46.2%)⇒131億円(▲17.9%)と大幅減益が続いています。

業績悪化はメインであるしまむら事業の不振によるものです。2019年2月期はセール企画で思うような集客ができず、客単価の低下で売上が伸びませんでした。さらに売れ残り商品が翌年度の新規仕入れを妨げ、販売機会ロスを発生させてしまいました。

ただし近年の業績悪化は、2016年から行った商品アイテム数の絞り込みが、しまむらの魅力であった“宝探し”感を損ね、客離れの原因になったとも指摘されています。アパレルECの台頭も影響しているかもしれません。

減収に伴い、売上総利益の落ち込みが最終利益を圧迫しました。2020年2月期には不採算店舗の減損損失も減益要因となりました。

コロナ禍による消費者の出控えが転機に

3期連続での減収減益でしたが、コロナ禍の2020年、突如として業績は回復基調に変わります。

直近の2021年2月期 第3四半期累計(2020年2月21日〜11月20日)の売上高は4045億円(前年同期比2.6%増)、営業利益は312億円(64.5%増)、四半期純利益は216億円(70.5%増)。

巣ごもり需要でリラクシングウェアや寝具の売れ行きが良く、秋冬物も好調に推移。郊外型立地の店舗比率が高いことも “新しい生活様式”の下で有利に働きました。

利益の拡大には、2018年から取引先との連携で構築した短期生産体制(発注から最短40日で商品を納品)も寄与しています。売れ筋を見極め、短いタイムラグで店頭展開することでトレンドに敏感な若い客層を取り戻し、在庫の適正化、値下げ削減を実現できました。

また、広告活動をチラシやテレビCMからSNSを利用したデジタル広告中心に切り替え、43億円もの販管費を削減したことも利益確保に寄与しました。

こうした目覚ましい業績改善に対して、株価はどう動いたのでしょうか。

販売の好調とともに株価も右肩上がり

株価は業績が低迷していた時期に下がり基調となり、2018年2月末時点の12900円台から2019年12月には8000円近くまで下落。昨年4月には6000円を下回りましたが、コロナショックで底を打った後はV字回復。今年3月下旬では1万1000円台~1万2000円台を推移しています。

しまむらの過去10年の株価推移1/1

成長への “手段”は揃った。来期は活用力が試される

2021年2月期の通期業績については、3月15日に上方修正を発表しており、売上高5426億円、営業利益380億円、当期純利益262億円を見込んでいます。修正前の予想水準であっても、4年ぶりの増収増益になります。

また今年に入り、しまむらは新本社ビルをJRさいたま新都心駅近くに完成させ、隣接する商業棟に旗艦店となる大型の「ファッションセンターしまむら」および「アベイル」「バースデイ」の新店舗をオープンしました。

ここをマーケティングの基地として短期生産の仕組みをフル活用し、顧客ニーズに即応した商品供給を狙っているのでしょう。昨年10月には自営のネット通販サイトも立ち上げ、2021年2月期中に売上規模10億円を目標にしています。

安くてトレンド感のある商品でさらに若い客層を取り込み、ネット&実店舗で相乗効果をどう出していくかが、今後のカギとなるのではないでしょうか。

まとめ

近年業績の低迷が続いていたしまむらは、コロナ禍の中で商機をつかみ、商品政策や販促、効率的な在庫管理をうまく連動させて増収増益を達成する見通しとなりました。

2021年2月期の通期決算発表は、4月5日です。今後を占う意味でも、ネット通販の売上げ動向などは要注目でしょう。

参考資料