コロナ禍で消費者のニーズが変化するいま、各企業の業績の推移は、業界によってはっきり明暗が分かれる傾向がみられます。
景気に左右されやすい民間企業のサラリーマンと比べ、公務員は安心して勤めやすい、というイメージを持たれることが多いかもしれませんね。
3月といえば、定年退職などで現役生活にピリオドを打たれる人が多い時期。退職金の受け取りを予定している人も多くいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、公務員の中でも特に安定のイメージが高い「国家公務員」の退職金事情を、民間企業の会社員と比較しながら見ていきます。
さいしょに「国家公務員とは」
公務員は、大きく国家公務員と地方公務員に分けることができます。
- 国家公務員・・・立法、司法、行政という国家の運営に関連した業務を行う
- 地方公務員・・・採用された地域に密着した行政サービスを主に行う
令和2年10月に人事院が公表した「国家公務員給与の実態」によると、公務員の人数は、国家公務員が約58万6000人、地方公務員が約274万4000人となっています。
このうち人事院の給与勧告の対象となるのは、「給与法の適用を受ける一般職の国家公務員」の約27万8000人です。
では、ここからは公務員のなかでも「国家公務員」の退職金事情にフォーカスしていきます。
国家公務員の退職金はどのくらい?
ひとことで「国家公務員」といえど、その職種はさまざまです。
ここでは、内閣人事局が公表する「退職手当の支給状況(令和元年度退職者)」から、一般行政事務職員等である行政職俸給表(一)適用者で、「35年以上勤務した場合の退職事由ごとの金額」を確認していきます。
行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が35~39年の場合
平均支給額…2206万2000円
〈内訳〉
- 定年…2188万1000円
- 応募認定…2346万6000円
- 自己都合…1782万7000円
- その他…2074万円
行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が40年以上の場合
平均支給額…2166万7000円
〈内訳〉
- 定年…2154万円
- 応募認定…2300万6000円
- 自己都合…1988万1000円
- その他…2239万6000円
「行政職俸給表(一)適用者で、35年以上勤務」かつ、退職事由が「定年退職」や「応募認定(※)」の場合は、2000万円以上の退職金を受け取れることがわかります。
この退職金額を見る限り、国家公務員の退職金事情は非常に安定している、と感じた方も多いかと思います。
【解説】「応募認定」※
「早期退職募集制度」に基づく退職を指します。
早期退職募集制度は、45歳以上(定年が60歳の場合)の職員が対象。職員の年齢別構成の適正化を通じて組織の活力を維持することなどが目的。2013年11月1日から本制度に基づく退職(応募認定退職)が可能となりました。
参考:「早期退職募集制度について」内閣人事局