今こそ!地方銀行は中小企業の”成長エンジン”に

厳しい状況に置かれつつ奮闘する地銀マンたち。一方で、銀行を取り巻く環境にも新しい動きが出始めました。2018年3月、金融庁の規制緩和により銀行の人材紹介事業参入が認められ「人材紹介サービス」の事業を行えるように。さらには「取引先と人材会社のビジネスマッチング」へ踏み切る銀行も増えています。

人手不足・経営課題の解決に苦戦を強いられる中小企業に対し、地銀が貢献できることの幅が広がった朗報といってもいいでしょう。この波に乗ろうと、現在多くの企業が銀行との連携へ向け動き始めている真っ最中です。

外部のプロの経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決する新しい人材活用モデルである「プロシェアリング」を運営するサーキュレーションも、2018年から本格的に銀行とのアライアンスを始めました。現在では全国各地の57行の金融機関と提携をしています。

とはいえ、我々のようなベンチャー企業は、どれだけサービスに自信を持っていても地方で信頼を獲得するのは難しいもの。だからこそ、地元企業からの信頼がどこよりも厚い地銀の力を借りることは必須でした。

また銀行幹部だけに提携の理解や了承を得られても、現場で働く行員たちに浸透しなければ、仕組みはうまく回っていきません。元銀行員だった私はそのことを十分に理解していたため、成約を獲得することをきっかけに、行内全体にサーキュレーションと連携して地元企業の課題を解決する体制を浸透させていきました。

サーキュレーションと地銀が組むことで、お互いにとってメリットのある良い循環も生まれています。銀行側のメリットとしては、サーキュレーションの活動や実績の進捗報告のために毎月企業へ訪問する理由が生まれました。これにより地銀の方からは、社長との信頼関係を深める機会を創りやすくなった、という声をいただいています。

さらにはサーキュレーションの支援内容で、新規事業の立ち上げや工場の新設といった融資が必要なケースが出た場合は、本業である融資獲得にもつながる良いサイクルも生み出せています。

取引企業と人材会社とのビジネスマッチングは、融資とは比にならないくらい少額の手数料であることは事実です。しかし、本業につながるきっかけが生まれたり、銀行員でありながら「カネ」だけでなく「ヒト」の部分も併せて企業に貢献できることは、間違いなく地銀の可能性を広げる手立てとなるでしょう。

地元企業の社長から感謝の言葉をもらえる機会も多くなり、貢献意欲の強い地銀マンにとって働く喜びにもなっているのです。

今後、プロシェアリングと地銀を掛け合わせたサービスを全国各地まで浸透させられれば、日本中の中小企業の“成長エンジン”になれると信じています。地方中小企業を人材・資金の両面から支援できる。地銀の可能性は、今この瞬間も、どんどん広がっているのです。

どれだけ世間から厳しい目を向けられようとも、地元企業に貢献したい!と熱い想いを持った地銀マンの目は輝いています。地銀再編への煽りが大きくなる今だからこそ、地銀の可能性は無限だと声を大にして伝えたいです。

参考資料

笹島 敦史