2004年に、前年から社会保険庁の年金CMに起用されていた女優や、当時の内閣閣僚や野党の大物といった政治家等の国民年金保険料未納が大きな社会問題となりましたが、その面々は全員が第1号被保険者でした。
一方、保険料未納を防ぐために、現在は過去2年間の未納分は後から追納できます。
ただし、障害を持つきっかけ(年金法では「初診日」と称します)が起きてから追納しても手遅れです。障害年金の受給可否は、この時点(初診日)での納入状況で判断されることに十分注意して下さい(正確には初診日の属する月の前々月までの期間で判断)。
学生は20歳になったら必ず「学生納付特例制度」の申請を
特に注意が必要なのが20歳以上の学生です。現在、20歳になると国民年金保険料の納付義務が生じますが、学生に関しては「学生納付特例制度」を申請することで、保険料納付が猶予されます。
そして、学生納付特例制度を適用されている間は、障害基礎年金の受給要件を充たしていると判断されます(つまり、未納ではないということです)。
ですから、たとえば、学生納付特例制度を適用している21歳の学生時に交通事故に遭ったことが原因で、後々に重い障害が残った場合、障害基礎年金が生涯に渡って支給されます。
しかしながら、仮に学生納付特例制度を申請していない時に障害を持つような事故に遭った場合、障害年金の支給対象とはなりません。学生納付特例制度は、自動的に適用されるものではなく、自ら申請しなければならないことには十分注意が必要です。
なお、20歳未満で障害を持つことになった人は、20歳から障害年金(障害基礎年金)を受給できます。この際、20歳未満には国民年金保険料の納付義務が生じないため、原則的に、保険料納付要件とは関係なく受給できます。ただし、20歳前には受給できません。
年金保険料納付は掛け捨てではない
最後に、年金保険料の納付は法律で定められた義務であることを再確認しておきましょう。
それは基本的には、将来に自身が受給する老齢年金のためですが、一定の納付をしていれば、途中で障害を持つことになった時に障害年金という形で返ってきます。皆さんの納付状況は本当に大丈夫ですか?
葛西 裕一