「退職金制度」の現状

ここまでは、退職金の金額を左右する第一の要素である「勤続年数」についてながめてきました。

ご自身の勤続年数ならば、老後資金のかなりの部分を退職金でまかなえそうだ、と安心された方もいらっしゃるかもしれませんね。

ここでちょっと注意が必要かもしれません。

民間の企業に「必ずしも退職金制度がある」とは限らないのです。

厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」(2018年)によると、退職給付制度がある企業は80.5%となっています。

企業規模別にみると以下のようになっています。

  • 1,000人以上:92.3%
  • 300~999人:91.8%
  • 100~299人:84.9%
  • 30~99人:77.6%

企業規模が小さいほど退職給付制度のない割合が高い、という傾向がうかがえますね。

また、退職給付制度の有無は、業種によっても差があります。

退職給付制度がある割合が高い主な業種

  • 複合サービス事業(信用・保険・共済事業を行う協同組合や郵便局など):96.1%
  • 鉱業、採石業、砂利採取業:92.3%
  • 電気・ガス・熱供給・水道業:92.2%

退職給付制度がある割合が低い業種

  • 宿泊業、飲食サービス業:59.7%
  • 生活関連サービス業、娯楽業:65.3%
  • サービス業(他に分類されないもの):68.6%

会社勤めをしていれば、必ず退職金を受け取れる、とは限らないわけです。

さらにいうと、各企業の退職金は近年低下傾向にあります。

金融審議会のレポートによると、平均退職給付額(全規模)は1997年時点では3203万円でしたが、2017年は1997万円という結果に。

ここ20年で1000万円以上低下しているのです。

そして同時に、退職給付制度自体を設けていない企業の数も増えているというわけです。今後は老後資金をご自身で準備していく、という意識を持つ必要がありそうですね。