低年金に該当するケースとは
国民年金の年金月額の実態をみて、「果たして私はいくら受け取れるのだろう」と心配になった方もいらっしゃるかと思います。
月額「1万円未満」「1万円以上2万円未満」といったケースの場合は特に、十分な老後資金をご自身で準備していく必要があります。
では、このような「低年金」に該当するケースは、どのようなパターンが考えられそうでしょうか。
シミュレーションの結果をもとに、該当しそうなケースを2つ、示していきます。
まず、40年保険料を支払った人が受け取る国民年金の満額を、78万1700円(※)とします。
(※ここでは便宜上、2020年度の国民年金支給額満額をもとに計算していきます)
例1 最低期間の10年の納付期間があり、その間保険料を支払っていた場合
→19万5400円(月額1万6300万円)
計算式:78.17×(120÷480)=19.54
例2 最低期間の10年の納付期間があり、その間保険料を全額免除されていた場合
→9万7700円(月額8100円)
計算式:(78.17×(120÷480))÷2=9.770
このように、「納付期間の最低ラインである10年間だけ保険料を支払う、または全額免除されていた」という場合、年金月額は1万円前後という結果になりました。
ただし、この試算は「2020年度の金額をもとにした概算」です。あくまでも、ひとつの目安として捉えていただければと思います。
さいごに
厚生年金は年金保険料を会社と折半して多く納めているぶん、国民年金よりも手厚くなります。
なので、国民年金の人が受け取る「老齢基礎年金」は、満額受給できた場合でも、厚生年金の受給額と比べるとどうしても少額になってしまうのです。
国民年金保険料の未納期間が多い人のなかには、
「何十万円の年金保険料を追納しても、老後に受け取る年金が少額なら、別に受給資格なんてなくてもいいかも?」
と軽く考えてしまう人もいらっしゃるかもしれませんね。
でも、その考え方は賢明とはいえないでしょう。
受給資格がない場合、
- 「万が一のときに障害年金を受け取れなくなる」
- 「遺族が遺族年金を受け取れない」
といったデメリットも生じます。
年金は「ご自身の老後」を保障してくれる老齢年金だけではないことを、頭にいれておきたいものです。
人生100年時代。長い将来を見据えた場合、やはり月々の年金保険料をしっかりと支払うことはたいせつといえるでしょう。
年金保険料の支払いが難しい時は、免除や猶予、そして追納の制度を活用して、しっかり受給資格を得ておかれることをおすすめします。
参考資料
- 厚生労働省「令和元年(2019)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 企業年金連合会「第一号厚生年金被保険者」
- 日本年金機構「合算対象期間」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」