さいごに

「60代・おひとり様」の貯蓄状況と老後のお金についてながめてきました。

冒頭で触れたように、「老後2000万円問題」の「2000万円」という金額は夫婦世帯を前提として算出されています。

平均額から算出した「60代・おひとり様世帯」の純貯蓄額は、確かにその半分の「1000万円」を超えていました。

しかし、最後に見たデータからは、高齢世帯のひと月あたりの最低生活費を見てみると、「おひとり様世帯」と「二人以上の世帯」はさほど変わらない金額であることが分かります。

さらにいうと、おひとり様世帯の場合、介護や通院、日常の家事などのサポートを、家族以外の人にお金を払ってアウトソーシングする場面が多くなることも考えられそうです。

老後、想定外の出費がかさむリスクを考えたときに「おひとり様だから、老後資金は1000万円あれば大丈夫」と言い切ることは非常に危険であるといえるでしょう。

ちなみに、同調査によると、60代・おひとり様世帯の「金融資産目標残高」は2443万円(中央値…1000万円)となっており、貯蓄への意識が高めである様子もうかがえます。

人生100年時代はすぐそこに近づいています。

長い老後を見据えたお金の対策は、できるだけ早めのスタートされることをお勧めします。

「定年退職まであまり年数がなくて不安」「一人でお金のプランニングをするのは心細い…」そんなお悩みをお持ちの方は、資産運用のプロのアドバイスを受けてみてもよいでしょう。

一人ひとりのライフスタイルに寄り添う「お金の育て方」が見つかるかもしれません。

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

参考資料