それでは、ゴールドウインの事業内容やコロナ前からの業績を確認しながら、好調の理由を探っていきましょう。

「ザ・ノース・フェイス」を軸にアウトドア関連が成長をけん引

ゴールドウインは、約20のブランドを有するスポーツアパレルメーカーで、企画・生産・販売を一貫して自社で行っています。ブランドは、①アウトドア ②アスレチック ③ウインター ④その他──の4カテゴリー。中でもアウトドアの人気ブランド「ザ・ノース・フェイス」は業績のけん引役として比重が大きいと言われています(売上高は非公開)。

主なチャネルは、全国155の直営店舗での「小売」とスポーツ専門店などへの「卸売」です。自社ECサイトも運営しています。

続いて近年の業績を、2018年3月期から2020年3月期まで、3年間にわたって見てみましょう。

売上高は704.2億円(前年比15.6%増)⇒849.3億円(20.6%増)⇒978.9億円(15.3%増)と2ケタ成長を続けています。売上高の7〜8割弱を占めるアウトドア関連が、前年比120%超えをキープしていることが好調さの土台となっています。

対する営業利益は71.0億円(81.6%増)⇒118.6億円(67.0%増)⇒174.8億円(47.4%増)、当期純利益は51.7億円(51.1%増)⇒92.4億円(78.6%増)⇒107.7億円(16.5%増)と、こちらも大きく伸びています。

2020年3月期は、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」の開催に際して販売した日本代表レプリカジャージへの人気がアスレチックカテゴリーの増収に寄与しました。

利益面では、売上拡大にともなう粗利増に加え、利益率の高い直営店・ECで売上が確保できたことや、店頭在庫の適切な把握・移動により販売機会ロスや値引きを削減したことが増益につながりました。