考え方としては、緊急事態宣言でメリットを受ける多くの人から税金を徴収して「犠牲者」に補償をすべきなのですが、新型コロナ不況の最中の増税は避けるとすれば、国債を発行して調達した資金を観光業等に配ることとして、新型コロナ不況から回復したのちに広く国民から税金を集める、ということだと思います。
もちろん、「景気は税収という金の卵を産む鶏」なので、増税のタイミングは景気を殺さないように慎重に検討すべきですが。
民意が正しい情報に基づくことが重要
世論を尊重した政策が採用されるための大前提は、世論が正しい情報に基づいて適切に形成されているということです。
筆者が心配しているのは、世の中には悲観的な情報が出回るメカニズムが働いている、ということです。「新型コロナは怖い」という方が「大丈夫です」というより賢そうに見えるし人々の関心も引ける、ということで評論家は不安を煽るような話をするインセンティブを持っています。マスコミも、不安を煽る方が客の関心を惹けるので、同様のインセンティブを持っています。
そうした「悲観バイアス」を、情報の受け手である国民が十分に割り引いて理解した上で、それでも「新型コロナの蔓延を防ぐためなら緊急事態宣言も止むを得ない」と考えているのであれば良いのですが、バイアスのかかった情報に基づいて判断している人がいないとは限りません。そうした人が少ないことを祈るばかりです。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。ご了承ください。
塚崎 公義