緊急事態宣言延長なら「被害者」に十分な補償をすべき

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緊急事態宣言を延長するなら、多数が少し利益を得て少数が大きな被害を受けるのだから、「被害者」に十分な補償をすべきだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

緊急事態宣言の負の影響は狭い範囲に集中

緊急事態宣言が発令、延長されると、観光業や飲食店等が非常に大きなマイナスの影響を受けます。本稿ではこうした業種の企業および従業員を「被害者」と記すこととします。

しかし、年金生活者や多くのサラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)はそれほど影響を受けません。景気が大幅に落ち込めば影響を受ける人も多いのかもしれませんが、さまざまな経済統計を見る限り、多くの人が経済的に大打撃を被っている、というわけではなさそうです。

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一方で、緊急事態宣言が出されずに新型コロナが蔓延してしまうと、すべての人が被害に遭う可能性がありますから、多くの人は自分へのリスクを減らすためには緊急事態宣言を延長してほしいと考えるでしょう。

したがって、人々が各自の利益だけを考えて世論調査に回答すると、少数の人は緊急事態宣言に絶対反対、それ以外の多数が賛成、ということになり、「世論は緊急事態宣言に賛成だ」ということになるかもしれません。

そうなると、多数の受益者が罹患のリスクが減る恩恵にあずかる一方で、少数の「被害者」が大きな打撃を受けることになりかねません。

掃除当番を1人に押し付けるのは正義か

筆者は民主主義を否定するつもりは毛頭ありません。日本が独裁国家になるべきだとは決して考えていません。ただ、多数決ですべてを決めるのが正義だと言えない場合もあるので、慎重な検討が必要だ、と考えています。

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執筆者
塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。【近著】なんだ、そうなのか! 経済入門』『老後破産しないためのお金の教科書』『経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体』『一番わかりやすい日本経済入門』『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由【雑誌寄稿等】Facebook、NewsPicks、アメブロ等にて適宜ご紹介