孤軍奮闘の日本株。世界株はまちまちに終わった1週間

先週(10月24日‐10月28日)の世界の株式市場はまちまちでした。週間騰落率はTOPIXが+2.0%、米S&P500が▲0.7%、独DAXが▲0.1%、上海総合が+0.4%でした。

投資環境を振り返ると、先週は英米の7‐9月期GDPが堅調だったことが効いています。米欧の10月の製造業PMIが回復基調を示したこともあわせて企業業績への期待が高まったと思いますが、もう一方でこのGDP統計が米欧の長期金利を急騰させました。さらにドイツ銀行の決算が黒字になったことで、年初来出遅れの著しかった日欧の金融株が大幅に上昇しました。

日本株の上昇は円安の進行、決算消化、金融株の上昇に支えられています。内容の濃い決算を出した日本電産に限らず、逆風の事業環境のなかでも体質強化を進めてきたメーカーが散見され、そうした銘柄への物色意欲の強さも感じられます。

上海株、欧州株はほぼ横ばいでしたが、米株は引き続き軟調でした。アルコア、ボーイングなどが高かった一方、決算を発表したアップル、アルファベット、アマゾンなどは軒並み軟調でした。週末にはクリントン大統領候補のメール問題についてFBIが再調査をすると報道されVIX指数が急上昇しています。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

年初来の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

アウトルック:決算シーズンが佳境。金融セクターのリバウンドが続くか

今週(10月31日‐11月4日)は決算を睨む展開が予想されます。

決算期では当たり前ともいえますが、このところ業績で株価の明暗がしっかりつく印象です。特に長期金利が上昇し始めているため、業績に対する期待(とハードル)も高まっているでしょう。今週は米国ではフェイスブック、クアルコム、タイムワーナー、スターバックスなどの注目企業の決算が控えており、日本は決算発表が佳境になります。銘柄銘柄ごとに業績の確認作業が続き神経質な展開が続きそうです。

こうしたなか、先週の金融セクターの上昇が継続できれば相場水準の修正につながりますので、注目しておきたいと考えます。

なお、今週は日米で金融政策を決める会合が開催されます。ともに今回政策の変更の可能性は低いとみられますが、長期金利が大きく動いているため声明・証言には要注意でしょう。米大統領選と金利の落ち着きどころが見えれば、徐々にクリスマスラリーに入ること可能性があるでしょう。しっかりした企業体質の銘柄を選んで年末に向かいたいところです。

椎名 則夫