日経平均3万円の背景に「従業員より株主重視」 統計が示す増えない給料

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株価が上昇を続けています。世界的な株高の流れに沿っていることが主因なのでしょうが、大きな目で見ると日本企業の収益が好調なことも一因のようです。日本企業が従業員より株主を重視していることが背景にあるのだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

グローバル・スタンダードで日本企業が変質

高度成長期の日本企業は「従業員の共同体」と言われ、株主には出資に対する「応分の謝礼」として配当を支払うものの、利益が出れば賃上げで従業員に報いる、というのが普通でした。その後もバブル崩壊までの日本企業は従業員の共同体でした。

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しかし、バブル崩壊後の長期低迷期に「グローバル・スタンダード」なる言葉が流行り、企業は株主の物だから儲かったら株主に配当するのが当然だ、という考え方が広まりました。

日本経済は2000年代にも2010年代にも長期にわたる景気拡大を経験しましたが、いずれの場合も「景気回復が実感できない」と言われました。経済成長率が高くなかったこともありますが、給料が増えなかったことが「体感景気」を冷やしていたのでしょう。

法人企業統計年報という統計を見ると、それが良くわかります。景気の谷から山までの企業の付加価値の増加額、人件費の増加額、株主帰属額(配当プラス内部留保)の増加額を見てみましょう。ちなみに景気の谷は1986年11月と2012年11月、山は1991年2月と2018年10月でした。

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執筆者
塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。【近著】なんだ、そうなのか! 経済入門』『老後破産しないためのお金の教科書』『経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体』『一番わかりやすい日本経済入門』『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由【雑誌寄稿等】Facebook、NewsPicks、アメブロ等にて適宜ご紹介