2020年3月に閣議決定された「年金改革法案」により、2021年4月より年金制度が変わります。

これにより、「年金の受給開始年齢を75歳までに延ばす」「在職老齢年金の見直し」など、私たちの暮らしに関わりが深いさまざまな変更点が発生します。

定年後も「再雇用」や「起業」などの形で社会との接点を持ち続ける人が増えていますね。そして、今後はさらに働くシニアが増加することが考えられるでしょう。

共働き世帯も、これまで以上に見受けられるようになるかもしれませんね。

そんな働く世帯の60代の方々は、どれほどの貯蓄をもっているのでしょうか。50代・70代の貯蓄額と比較しながら、夫婦の共働き事情についても触れていきます。

まずは「貯蓄」の定義から

「貯蓄」に関するデータをみていく前に、その定義を確認しておきましょう。総務省の家計調査報告(貯蓄・負債編)の用語の解説では「貯蓄」を以下のように示しています。

ゆうちょ銀行,郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構,銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価,債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。 なお,貯蓄は世帯全体の貯蓄であり,また,個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める。

ポイントは、「貯蓄額」には「預貯金以外の金融資産」も含まれているという点です。そこで、各世代の貯蓄を「預貯金額」「預貯金以外の金融資産額」に分けてみていきましょう。
※四捨五入の関係で、合計が合わないことがあります。

還暦前のラストスパート「50代」の貯蓄事情

ではさっそく、60代を目前に控えた「50代」の貯蓄事情からみていきましょう。この世代の勤労者世帯の「預貯金」と「預貯金以外の金融資産」の額を合計すると、平均貯蓄額は約1,728万円となります。その内訳と平均負債額は、以下の通りです。

50代の貯蓄平均額「約1,728万円」

50代の預貯金の平均額「1022万円」

  • 通貨性預金:441万円、定期性預金:581万円

50代の預貯金以外の金融資産の平均額「705万円」

  • 生命保険など:420万円、有価証券:185万円、金融機関外:100万円

50代の平均負債額「661万円」

50代のなかには、住宅ローンの返済が残っている世帯も珍しくありません。

そんな50代の貯蓄額(預貯金以外の金融資産と預貯金の額の合計)から負債の額を差し引くと、1000万円ほど。そして、妻の有業率は58.0%となっています。