「一人暮らしのお年寄りが、詐欺の被害者に…」

このようなニュースは後を絶ちません。

警察が放送やチラシなどで呼びかける、CMで注意を促すなど、さまざまな対策は取られています。しかし、それでも被害に遭ってしまう高齢者が多い、というのが現状です。

2020年以降は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に便乗した詐欺まで発生するなど、詐欺の内容や手口はさまざまであり、巧妙化しているのも大きな特徴でしょう。

そこで今回は、多様化する詐欺の手口や内容、注意点などについて解説していきます。

高齢者の詐欺被害を未然に防ぐためにも、高齢者・家族が、詐欺の知識をしっかり持ちましょう。

約85%が高齢者。特殊詐欺の被害者数のリアル

警察庁「令和2年(2020年)における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」によると、この年の特殊詐欺認知件数は1万3,526件。

そのうち、高齢者(65歳以上)被害の認知件数は、1万1,556件となっています。

これは、全体の85.7%にも及び、「65歳以上の高齢者が被害にあいやすい」ことを示しているといえるでしょう。

また、65歳以上の高齢女性の被害認知件数は、8,902件であり、全体の66.0%にも及んでいます。

他の世代と比較して、「高齢女性が被害者であることが圧倒的に多い」といえるでしょう。

詐欺の主な手口1位は「オレオレ詐欺」

では、詐欺師たちの常套手段について、くわしくみていきます。

<主な手口の認知状況>
1位…オレオレ詐欺:6,382件(全体の47.2%)

  • 被害額:121億6000万円

2位…キャッシュカード詐欺盗:2,833件(全体の20.9%)

  • 被害額:39億7000万円

3位…架空料金請求詐欺:1,997件(全体の14.8%)

  • 被害額:79億6000万円

主な手口をみると、オレオレ詐欺の認知件数が最も多い結果となっています。

2位の、キャッシュカード詐欺盗と比べても、認知件数は倍以上であることがわかり、オレオレ詐欺による被害が圧倒的に多いといえるでしょう。

また、「オレオレ詐欺」「キャッシュカード詐欺盗」を合わせると、全体の約7割に及ぶことも明らかで、上位2つの詐欺手口にはとくに注意が必要です。