前ページの表からわかることは、貯蓄額、中央値、そして金融資産を保有している、保有していないに関わらず、全ての項目において、60歳代がいちばん貯蓄を保有していることです。
60歳代の中央値は、金融資産保有世帯で1200万円、非保有世帯では650万円です。
おおむね40~50歳代で資産が大きく増える傾向がありますが、注目すべきは50歳代から60歳代の中央値の増え方です。
中央値で見てみると、金融資産を保有している世帯では200万円、金融資産を保有していない世帯を含む中央値では50万円しか増えていません。
中央値は大きい順、あるいは小さい順から並べて真ん中の数値と説明しましたが、真ん中の人の数値は50歳代から60歳代に至るまで、それほど増えていないということになります。
一方、平均値ですが、同期間を見てみると、こちらは大きく増えています。
つまり、資産を増やせている人がいる一方で、増やせていない人もいることがわかります。その格差が大きく開いているということが、平均値と中央値を比較することでよくわかります。
老後いくらあれば安心か
前章で、資産の格差が広がっている現状をお伝えしました。老後に備えて資産を増やす人がいる一方で、貯蓄まで手が回らないという人もいるようです。
人生100年時代と言われる昨今、安心した老後を過ごすためには一体いくらあれば良いのでしょうか。
一昨年に公表された「老後2000万円問題」を例に検証して見ましょう。
金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」に、老後世帯のモデルケースが記載されています。
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの世帯で、同資料内の「第21回市場ワーキング・グループ厚生労働省資料」によれば、この世帯の月々の収支は次ページの通りとなっています。