アスベスト混入を防ぐ手立てはあったのか

日本では2004年にアスベストの使用が全面禁止されており、EU諸国も(25カ国)が2005年までに全面禁止しています。

「基調講演:アスベスト災害の責任と被害救済の国際比較」(神戸大学リポジトリ・2014年3月刊行)によれば、

「中国は世界の30パーセント、インドは15パーセント使用しているわけで、アジアで世界の半分のアスベストが使われているという状況であります」

との言及がある通り、中国など、現在も合法的にアスベストを使用できる国が存在するのは事実です。

さらに、各メーカーも珪藻土製品を安価に販売するために、珪藻土成分が含まれる建材のケイ酸カルシウムボード(ケイカル板)を小さく加工して「珪藻土ボード」と称して販売していました。このケイカル板のつなぎにアスベストが使用されているケースがあり、それが今回の騒動の直接の原因です。

したがって、結論としては、「輸入した資材もしっかりアスベスト検査しましょう」ということになるのですが、日本国内でのアスベスト全面禁止から15年以上経過しており、アスベスト自体や、それが与える害について知らない世代が業務にあたっている可能性もあるでしょう。

ただ、アスベストは「軽く、吸い込みやすい」という性質があり、対策を知らないとほぼ確実に健康を害してしまいます。

また、「変質しづらい」というアスベストの特性により、吸い込んでしまった破片は長い間肺にとどまり続けます。これを機に、あらためてアスベストについて理解を深めることは大事だといえるでしょう。

當瀬 ななみ