何を買うか?より誰から買うか?

時代は変わり、モノやサービスは溢れかえっています。

「世の中でこの人にしかできない仕事」となれば、相手の好感度など気にせずとにかくお願いせざるを得ないでしょう。しかし、同じ価値を提供してくれる相手を見つけるには困らない時代になりましたから、「何を提供してもらえるか?」で差別化をするのは困難になりました。

そうではなく、「誰に提供してもらうか?」へと変化してきたと思うのです。そう、同じ成果物を得られるなら、「好感が持てる相手」に頼みたいと思うものなのです。これは上述した人脈に通ずる部分があります。

そのことを裏打ちしてくれる記事があります。東洋経済オンラインの『「頭の良さより「好感度」で人生が決まる納得理由」』によると、日本人ビジネスマンは「自分はいかにデキる人かPR」する傾向があるといいます。これは自分の力を誇示することで、相手を魅了できると考えていることの表れではないでしょうか。

しかし上述の通り、人が誰かについていきたいと思う時は、相手に惚れ惚れとするような実績の有無だけではないというのです。それよりも「相手に魅力を感じるか?」こそが重要なファクターです。

経済は感情で動いている

同記事によると、昨今は従業員やエンドユーザーなど多くの利害関係者を力強くリードする、世界的トップ経営者の様相にも変化が見られるといいます。

米国のリーディングカンパニーのCEOといえば、かつてはトップダウンでカリスマ的な経営者が目立っていたといいます。確かにスティーブ・ジョブズ氏や、ジャック・ウェルチ氏などがあげられるでしょう。

その一方で、アップルのティム・クック氏、マイクロソフトのサチャ・ナデラ氏、グーグルのサンダー・ピチャイ氏といった共感方リーダーが台頭することで、米国ITテック企業をリードすると分析しています。そして新たなリーダーは「ビジネスは共感が重要」と主張しているというのです。

ビジネスは合理性がすべてではないことは、投資や商品購買行動にも現れています。株式投資の世界でも、「企業活動を応援したいから、この好きな企業の株を買いたい」という投資行動が見られ、商品の購買においても「企業理念に共感した会社の商品だから」という理由で購入する動きが見られます。

これは人がお金を使う時においても、共感が行動の源泉になっている事例といえます。「リターン>コスト」という純然たる合理性だけで行動するわけではないのです。