一番やってはいけないこと
最後に、一番やってはいけないことをお伝えしておきます。それは次の状況の時に、「連帯保証人に親や親族を立てる」ことです。次の状況とは、①奨学金を多く借りている、②親や親族が経済的な余裕がない、③返還が困難な状況が想定できる、の3つ中で2つ以上当てはまっている状況です。
奨学金を借りる時には必ず保証人が必要です。これは機関保証でも構いません。機関保証とは、保証料を支払うことで保証人の代わりをしてくれる機関です。仮に自己破産をして、本人の奨学金の返済が免除されたとしても、債務はなくならず、連帯保証人や保証人に移ります。親が連帯保証人となっていた場合、元々奨学金を借りるということは経済的に余裕がないケースであるため、その親までが自己破産をしてしまうという自己破産の連鎖が起こることがあります。機関保証を利用すれば、こうした最悪な事態を避けることができます。
もちろん、保証人となる親や親戚の経済力が盤石である、返済に困ることはないという自信があるなら、親や親戚を保証人にしてもいいと思います。そうすることで決して安くはない保証料を機関保証に支払う必要がなくなります。奨学金の借入者の状況によってケースバイケースですが、少しでも不安があるなら機関保証を検討してみましょう。
参考資料
- 労働者福祉中央協議会(中央労福協)「奨学金や教育費負担に関するアンケート調査」並びに「奨学金に関する一斉相談」の結果(概要版)
- 返還が難しいとき – JASSO
- 奨学金事業への理解を深めていただくために– JASSO〔報道等を見て関心を持たれた皆様に向けたデータ・ファクト集〕
- 奨学金返還者の自己破産に関する報道について – JASSO
石倉 博子