返済が厳しくなったらどうするか
1、2、3と順番に状況が軽い→重いとなっていますので、最初に返済が厳しいと感じたら、まずは1番から試してみましょう。
1.減額返還
減額返還とは、毎月の返還額を減額して返還(返済)することです。たとえば、毎月1万5,000円を返還していたのを、毎月1万円にするという方法です。この場合、減額した分、返済期間は延びます。しかし、月々の負担が減ることで返還を続けていくことができるのであれば、この方法は有効です。減額返還をするには、減額返還を開始する月の2カ月前までに申請しなければなりません。1回の申請における適用期間は12カ月間、最長15年(180カ月)まで延長することができます。
2017年度以降の第一種奨学金採用者は、所得に応じて返還額が決まる「所得連動返還型奨学金制度」が利用できます。これは、返還者の所得に応じて、毎月の返還額が決まる仕組みです。この場合、返還額に応じて返還期間も変わる(少なければ長くなる)ため、返還総額は変わりません。この「所得連動返還型奨学金制度」を利用した場合、減額返還は申請できません。
2.返還期限猶予
返還期限猶予とは、一定期間返還期限を延長できる制度です。申請して承認された期間は返還の必要がなくなります。返還が再開されると、猶予された期間に応じて返還終了年月が延期されます。適用期間は通算10年(120カ月)が限度です(※)。
※事由や利用している制度によって、上限がないもの、または延長できる場合があります。
考え方としては、少し返済額を減らせば奨学金の返済を続けていける場合は「減額返還」を申請し、返済額を減らすだけでは無理な場合(無収入になってしまったなど)は、「返還期限猶予」を申請するとよいでしょう。ただし、どちらの場合も、返済額の総額が変わるわけではありません。将来、安定的な収入が得られることを前提とした、一時しのぎ的な方法であると思っておいたほうがよいでしょう。
3.自己破産
いきなり「自己破産」と聞くと驚いてしまうと思いますが、1、2の制度を利用しても根本的な解決とならず、将来的にも返済の目途が立たない場合は、自己破産することで、奨学金の返済義務はなくなります。言ってみれば、最悪の事態というわけですが、日本学生支援機構によると奨学金返還者(約410万人)のうち2016年度に新たに自己破産となった数は2,009件となっています。割合としては0.05%ほどなので、滅多にないと言ってもいいのかもしれませんが、それでも2,000人はいるわけです。
ただ、自己破産に行くまでに、日本学生支援機構による個別の返還指導や制度の案内などが行われているようなので、まずは相談をしてみましょう。