「周りには『夫の転勤さえなければ、今もA社で正社員だったのに』って言われます。でも、B社で働いたり、パートになったりしたからこそ経験できたこともあります。プロパー社員としてのキャリアは中断されたけど、社会人としての経験値は増えたので、後悔はまったくありません。来年度、社員登用試験を受けさせてもらえる話も出ていますが、今は子育てを優先したいので、もう少しパートのままでもいいかなと思っています」

正社員至上主義がいまだ強い日本では、〈プロパー社員としてのキャリアが断たれる=人生上のマイナス〉と考える人も少なくありません。Kさんのように、人生で起きた変化を「経験値」として捉えることができれば、どんな変化も前向きに喜ぶことができそうですね。

ケース3. ブランクをものともせず、専業主婦から学校の先生に

Sさんは、中学校の先生として働く3児のママです。大学時代に教職免許を取ったものの、迷った末に新卒のときは一般企業に就職。結婚を機に退職し、専業主婦として3人の子供を育てました。末っ子が1歳半になったタイミングで採用試験にトライし、現在は自宅近くの中学校で英語の非常勤講師をしています。

「30歳過ぎて未経験の教職にトライしたって言うと、周りからは結構驚かれますが、先生になるのが長年の夢だったので迷いはありませんでした。非常勤講師だと扶養内で働けるし、子供の夏休み・冬休みのときは仕事も休みなので、今の自分にとってはめちゃくちゃ好条件なんです。難しい保護者対応などは正職員の先生にお任せできるので、私は純粋に授業に取り組めます」

手取りの金額では正職員にはかないませんが、Sさんのライフスタイルにぴったりはまった非常勤講師という働き方。ブランクや年齢を言い訳にせず、前向きにトライする姿勢には、脱帽です。