つみたてNISA以外を使わないのは、運用のチャンスを逃すこと
例えばずっとNISAで毎月5万円の積立をしていた人が、つみたてNISAに変更したことで投資額を3万3,000円(年間の非課税投資枠40万円を12カ月で割り、1,000円単位で考えています)に減らしたとしたら、月々1万7,000円分の運用のチャンスがなくなったことになります。目先の数カ月を見れば、運用しない1万7,000円はあまり気にならないかもしれません。でも長い目で見れば、毎月の1万7,000円はとても大きな金額になります。
課税されることよりも、運用のチャンスを逃してしまうことの方がもったいない。これに気づくことができれば、これまでと同じ金額をつみたてNISAと課税口座の両方を使って運用できるというわけです。
ゆっくりと、時にはアクティブにつないでいくのが運用
実は筆者は過去に短期トレードをしていたことがあるのですが、あの時はとにかく株価が気になって仕方ありませんでした。でも今は投資スタンスを長期に変えたので今日、明日、1カ月後の株価は全く気になりません。そんな筆者でも気になることがあって、それが1つのゴールとしている20年後です。20年後には筆者自身が65歳を迎えるので、この頃までにゆっくりとした上昇トレンドを描いてくれればいいなと。
一方でどんな制度を使っていけば、より効果的な運用ができるのかも考えていきたいと思っています。情報をどのように理解して実行していくのが重要で、時にはアクティブさが求められることがあるかもしれません。でも今回の中野会長のように、新たな気付きを与えてくれる人もいるのは事実です。新しい制度や仕組みを取り入れつつ、「つないでいく」ことを軸に運用を続けていこうと考えています。
参考
セゾン投信株式会社 代表取締役会長CEO 中野 晴啓(なかの はるひろ)
1987年クレディセゾン入社。セゾングループの金融子会社にて資産運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用のほか、海外契約資産などの運用アドバイスを手がける。その後、クレディセゾンインベストメント事業部長を経て、2006年セゾン投信株式会社を設立。2020年6月より現職。現在2本の長期投資型ファンドを運用、販売しており、顧客数は約15万人、預かり資産は3,300億円を超える。一般社団法人投資信託協会理事。公益財団法人セゾン文化財団理事。
著書に『預金バカ』(講談社α新書)『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』(ダイヤモンド社)など。
参考資料
川崎 さちえ