定年を目前にしている50代は、老後資金作りのラストスパートの時期ともいえます。「今のうちにしっかりと貯めておかなければ」と思う一方、「退職金があるから大丈夫だ」と安心している人もいるのではないでしょうか。
でも、それは退職金が「必ずもらえて」「公的年金で足りない老後資金をカバーできる金額である」ことを前提にした考えになりますよね。
本当に、退職金をアテにしていても大丈夫なのでしょうか。そこで今回は、定年を控えた50代の方にこそ知っておいてほしい、退職金の現状をお伝えします。
あなたの会社、退職金をアテにしても大丈夫?
退職給付金の受け取り方は、「退職一時金制度」と「退職年金制度」の2通りがあります。まずは、こうした退職金の制度がある企業の割合をみていきましょう。
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」(2018年)では、80.5%の企業がこの制度を採用していると示されています。
「平成30年就労条件総合調査」
調査対象:日本標準産業分類(2013年10月改定)に基づく16大産業(製造業や情報通信業、金融業など)に該当する産業で、常用労働者30人以上を雇用する民営企業(医療法人、社会福祉法人、各種協同組合などの会社組織以外の法人を含む)。
さらに、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した企業が調査対象。調査客体数:6405、有効回答数:4127、有効回答率:64.4%)
そして、退職給付制度がある企業の割合は、「企業規模」と「産業」によっても差がみられます。
〈企業規模別、退職給付制度がある企業〉
- 1,000人以上:92.3%
- 300~999人:91.8%
- 100~299人:84.9%
- 30~99人:77.6%
退職給付制度がある割合は、企業規模が1000人以上の企業が9割以上であるのに比べ、299人以下の企業は8割前後にとどまっています。続いて、産業別のデータもみていきましょう。
〈退職給付制度がある割合が高い産業〉
- 複合サービス事業(信用・保険・共済事業を行う協同組合や郵便局など):96.1%
- 鉱業、採石業、砂利採取業:92.3%
- 電気・ガス・熱供給・水道業:92.2%
〈退職給付制度がある割合が低い産業〉
- 宿泊業、飲食サービス業:59.7%
- 生活関連サービス業、娯楽業:65.3%
- サービス業(他に分類されないもの):68.6%
このように、退職給付制度がある割合が9割を超えている産業もあれば、6割前後のところも存在します。いずれにしても過半数ではありますが、企業規模や産業によっては退職金をもらえない可能性があります。定年を控えた50代のうちに、ご自身が勤務する会社の退職金制度を確認しておきましょう。