2021年を迎えて早々、2度目の緊急事態宣言が発令されました。ボディブローが効いてくるように、経済状況もますます厳しさが増しています。

感染への不安のみならず、事業を営む方は資金繰りや倒産の不安、会社員の方は雇用や年収減少の不安など、心が休まらない中で過ごしている人も多いのではないでしょうか。

私は国内の大手生命保険会社の勤務経験を経て、フィナンシャルプランナーとして1000世帯以上のお客様のフィナンシャル・プランニングに携わってきました。

一昨年あたりから、老後資金の問題が目立って取り沙汰されています。今回は、厚生年金と国民年金だけで安心して老後を送れるのかについて、考えてみたいと思います。

なぜ年金や老後が話題になるのか

人生における3大支出は何かご存知でしょうか。それは、教育資金、住宅資金、老後資金です。

どれも準備するのに、おそらく1000万円単位のお金が必要になります。これだけのお金を用意するのは、本当に大変なことです。

例えば、教育費用が足りなかった場合を考えてみましょう。子どもを進学させてあげたいと思えば、教育ローンを組むことができます。奨学金も借りることができます。

住宅を購入する時はどうでしょうか。住宅を買う人のほとんどは現役世代ですから、住宅費用の全額を現金で一度に払わなくても、年収や信用情報に基づいて住宅ローンを組むことができます。

それでは、老後資金はどうでしょうか。老後資金は、まさに字のごとく、老後に使う、老後のためのお金です。老後資金が無くて困るのは、実際に老後になった時です。その時、教育資金や住宅資金のように、比較的容易にお金を借りることはできるのでしょうか。

無職で収入が年金だけの人は、現役世代の人と同条件でお金を借りることが難しくなります。仮にローンが利用できたとしても、少額であることが多いようです。年齢的に返済できる目処がつきにくいため、お金を簡単に借りられないのです。

借金はしないに越したことはありません。しかし、実際にお金に困った時、自分が現役であれば何とかなったことも、老後では思うようにいかないかもしれません。

老後資金は誰かを簡単に頼ることはできませんから、リタイアするまでに、どれだけ自分で準備できるかがポイントなのです。