米国史上最年長の大統領となるバイデン次期大統領は78歳。2020年コロナ禍で大活躍された感染症専門家、ファウチ博士は80歳。ウォーレンバフェット氏は90歳。アメリカではシニア世代、日本でいうところの後期高齢者世代でも第一線で活躍する著名人は少なくありません。

しかし、誰もがそう長く活躍出来るわけではありません。米世論調査会社ギャラップ(※1)によれば、アメリカ人の平均退職年齢は61歳だということです。今回は、アメリカ人の老後資金についてみていきます。

アメリカの公的年金の支給額は?

アメリカ人の退職後の収入源はおもに3通りです。公的年金、企業年金、個人投資・貯蓄です。現役時労働所得のある人は何かしらの公的年金に加入します。最も多くの人が加入しているのがソーシャルセキュリティーと呼ばれる年金制度です。

連邦政府職員や会社員、自営業者は所得に応じたソーシャルセキュリティー税を納め、最低40クレジット獲得することでソーシャルセキュリティーの受給資格を得ます。1年間に獲得できる最大クレジットは4クレジットまでなので、10年は納税する必要があるということです。4クレジット獲得可能な最低所得は$5,640(約55万円)、それ以下の所得の人は10年以上かかります。

その他の公的年金には州・地方自治体職員、鉄道職員のための特別な年金制度もあります。それぞれの団体の条件にしたがって年金が支給されます(※この記事では一般企業勤務者を対象にしています)。

2020年度の場合、満額受給できるのは66歳からで(1954年以前生まれ)その後は数カ月ずつ延ばされ、1960年以降に生まれた人たちは67歳からとなります。

62歳から受給可能ですが減額され、66歳以降に受給開始を延ばせば徐々に増額されます。もちろん、受給額はソーシャルセキュリティー税の納税額にもよります。2020年6月時点での米社会保障庁のデータによると(※2)各年齢での受給人数と平均受給額は下記のとおりです。

アメリカの年金受給人数と平均受給額

  • 62歳(受給開始可能年齢) 64万9,903人 $1,130(約11.6万円)
  • 66歳(満額受給)    265万7,145人 $1,488.55(約15.3万円)
  • 70歳            273万5,521人 $1,612.41(約16.6万円)

州の職員、鉄道職員のための年金制度については、個人差や所属団体により条件は異なりますが、だいたい35年以上働いた場合、一般的にソーシャルセキュリティー年金より受給額は多いようです。

ちなみに、ソーシャルセキュリティー税には毎年上限が設定されます。2021年度は年収$142,800(約1,470万円)までの所得に対し12.4%(を会社と半分づつ=$17,707.2÷2)が上限となります。どれだけ年収があろうが上限を過ぎればソーシャルセキュリティー税の最高納税額は$8,853.6(約91万円)ということです(自営であれば$17,707.2)

また2021年から受給開始する場合の最高受給額は、$3,895(約40万円)です(※3)この額を受給できるのは「35年間毎年その年の上限のソーシャルセキュリティー税を収めていた70歳」となります。結構ハードルが高いです。