定年後70歳、みんなの貯金はいくら?
「高年齢者雇用安定法の改正」によって、希望すればすべての人が65歳まで働き続けられるようになりました。また、令和3年4月からは70歳までの就業確保が努力義務となります。今現在70歳というと、自営などで定年がない限りほとんどの方が定年退職を迎え、セカンドライフに入っていることでしょう。
そんな70代世帯には、一体どのくらいの貯金が残っているのでしょうか。金融広報委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」内の「金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)」を見ると、70歳以上の平均貯蓄額は1,314万円、中央値は460万円です。一般的に真ん中の値を示す中央値の方が実感に近いといわれますが、460万円だと若干心もとない印象です。定年直前の60代の平均貯蓄額は1,635万円(中央値650万円)であり、老後生活に入って貯金を切り崩している様子が見て取れるのではないでしょうか。
老後生活にはどのくらいのお金が必要なのか
金融庁が令和元年6月に公表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」には、バブル崩壊後の景気低迷から給与が伸び悩んでいること、高齢世帯を含む各年代の収入が少なくなっていることが記載されています。このなかで、世帯主が65歳の高齢夫婦無職世帯が平均的な生活を送ると毎月5万円ほど赤字になり、老後20年で1,300万円、30年なら2,000万円不足するといわれているのです。この『老後2000万円問題』には多くの反響があり、老後に不安を感じた人も少なくないでしょう。
もちろんこの不足分は貯蓄から切り崩していくことになりますが、先ほども示したように70代の貯蓄額の中央値は460万円です。そして、この1,300万円、2,000万円という数字も、モデルケースでの試算にすぎません。老後にかかる費用は、ライフスタイルによって大きな違いが出てくるものです。金額の大きさだけに惑わされず、自分たちの収支を明らかにし、そこから必要な額を割り出して考えることが大切です。