老後破産のおそれも…元経営者だった家庭の苦難

ここで、今年70歳を迎えたAさん夫妻の話をご紹介します。Aさんは大手メーカーの子会社で経営者をつとめ、63歳で定年退職。退職金も入り、3歳年下の専業主婦の妻とともに老後生活に入りました。

もともと旅行が好きだったAさん夫婦は、海外旅行や豪華客船クルーズなど、悠々自適なセカンドライフを楽しんでいたそう。長女は結婚し、孫にも恵まれました。その後Aさんの父親が他界したことをきっかけに、その土地に二世帯住宅を建てることに。

しかし、家を建て始めてから予想外の出来事に見舞われます。Aさんが急病にかかり、半年ほど入院生活を送ることになったのです。さらに焦った妻が資産を投資に回し、数年で半分以上減ってしまいました。後遺症が残ったAさんの介護費用もかさみ、あんなに悠々とした生活を送っていたとは思えないほど、ギリギリの家計運営になってしまったのです。

幸い、娘夫婦と協力し合って生活自体はなんとか持ち直しました。Aさん夫婦は、まさか60代で大きな病気になるとは思っていなかったこと、増やすつもりで始めた投資に失敗してしまったことなど、見通しの甘さを反省しているといいます。お金に余裕があると思っていても、何が起こるかは分かりませんね。