このように消費税を評価していない筆者ですが、それでも景気対策として消費税を減税すべき、という意見には賛成できません。

景気対策としては、必要なところに支援が届かない

新型コロナ不況は、リーマン・ショックなどの通常の不況と大きく異なるものです。通常の不況では人々が金を持っていないので、人々に金をばら撒けば景気は回復します。したがって、公共投資や減税、国民全員に10万円の給付といった政策によって景気は解決するでしょう。

しかし、今次局面では観光関連等々の一部の人々が大きな打撃を受けている一方で、多くの国民は金を持っています。金はあるけれども旅行等は感染が怖いし、自粛警察も怖いので、旅行等を自粛せざるを得ないのです。

こうした局面においては、一般国民に広く金をばら撒いても事態は改善しないでしょう。人々は金を手にしても旅行等には行かず、貯金するか高級食材で家飲みするか、といった行動を取るでしょうから。

消費税を減税しても、同様です。消費者は「消費減税で懐が暖かくなったから旅行に行こう」「旅行代金が数%安くなったから旅行に行こう」などとは思わないでしょうから。旅行代金が半額になれば旅行需要は増えるようですが(笑)。

そうであれば、広くばら撒くのではなく、困っている少数の人を直接支援すべきです。持続化給付金でも緊急融資でも、旅館等々に重点的に資金が行くような政策をとるべきなのです。