SNSで展開された「ポテサラ論争」や「冷凍餃子論争」。記憶に新しいという方も多いでしょう。
スーパーでお惣菜を購入したり、夕飯のおかずに冷凍餃子を出したりする母親へ向けられた、「これくらいは手作りするべきだ」というコメントに対して、「手作り至上主義なんて時代錯誤!」といった批判が寄せられ、そのやりとりが大きな話題となりました。
同じように、未だ根強く残る「母親神話」や、周囲が期待する「良い妻・母親像」と現実の自分とのギャップに悩む女性は少なくありません。今回は、「妻/母親なら当たり前でしょう」と言われてモヤッとした経験のある3人の女性のエピソードをご紹介します。
根強い「手作り至上主義」の呪縛
共働き家庭で2人の子供を育てるAさんは、どれだけ仕事が忙しく、疲れて帰ってきた日でも、夕飯は基本的にすべて手作りしているそうです。
「仕事を終えて子供を迎えに行き、家に着く頃には毎日クタクタで、出来合いのもので夕飯を済ませてしまいたい、という気持ちはあります。でも、どうしても罪悪感が拭えないというか・・・。
『栄養が偏ってしまうと良くない』『体に悪いものが入っているかも』と考えると、お惣菜や冷凍食品を食卓に並べることをためらってしまいます。
それに、夫や義両親も料理は手作りが一番、という考え方で、育休明けに職場へ復帰する際にも『毎日のご飯はきちんと作ってくれるんだよね?』と、夫に念を押されました。同じワーママの友人と話していると、作ったおかずとお惣菜を半々くらいにして上手に手を抜いているおたくも結構多くて・・・。
彼女たちを素直に羨ましいと思う反面、それでもやっぱり手作りの方が…、と考えてしまいます。周りの人だけでなくて、自分自身が『手作り至上主義』の呪縛から逃れられていないんだな、という自覚はあるんですけどね」
四六時中「母親」や「妻」でなんていられない
コロナ禍では以前と比べてより強く妻や母親としての役割を求められるようになり、その重圧に苦しんでいるという女性も多いようです。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で夫婦ともにテレワークで仕事をすることになったBさんは、家族が揃って家で過ごす時間が長くなることで増え続ける負担に疲労とストレスが蓄積していていると語ります。
「夫は、こちらから頼んだ家事はある程度手伝ってくれる人だったのですが、今は慣れないテレワークで手いっぱいという様子です。
子供の世話や家事をお願いしても『あとでやる』と言ったきり忘れてしまうので、結局は私がすべてやっています。しかも、『こんなときだからこそ、家族の時間を大切にしたい。毎日19時には揃って食卓を囲もう』と言い出す始末。
気持ちは分からなくもないけれど、私の仕事量は曜日によってばらつきがあるため、毎日同じ時間に夕飯を準備するのが難しいときもあります。
夫は一切食事の支度を手伝わず、時間になったら食卓に座って待っているだけ。毎日夕食が終わるまで、私の心はイライラがとまりません。
コロナ禍で仕事への不安を抱えているのは私も同じ。そこを、夫はなぜ理解できないのか。「妻・母親・社会人」という3つの顔を常に維持し続けなければならない現状に、押しつぶされそうです。24時間フル稼働なんて、無理!」