2020年12月、繊維・化学・医薬化粧品・食品・流通・百貨店・ホテル・医療介護福祉・派遣業などの産業に従事する労働者によって組織される産業別労働組合、UAゼンセンがカスハラの実態についての報告書を公表しました()。それによると、コロナ禍の中、顧客の迷惑行為は増加傾向にあり、小売・サービス業に従事する5人に1人が被害にあっている、という結果が。

今回は、いまだ終息の兆しが見えないコロナ禍の中で起きた、カスタマーハラスメントの光景を集めました。

※「コロナ禍 小売・サービス業の20%が被害~カスハラ調査結果を公表~」 UAゼンセン

悔しいのはわかるが・・・「特賞逃して八つ当たり」

コンビニレジでの騒動

コンビニに勤務するAさん。実はコンビニには知る人ぞ知る人気商品があるといいます。それは「くじ」。映画や人気アニメなどとタイアップしているもので、ネットで取り扱い店舗などを事前にチェックして購入しに来るファンも多いのだとか。

あるくじの発売日のこと。2人のお客様がほぼ同時に入店しました。ひとりは年配の女性で、もうひとりは男性。

男性のお客様が、若干早くレジ待ちの列に並びましたが、今はソーシャルディスタンスということで、並んでいるお客様同士の間には、人が通れるほどのスペースがあります。そこに、先ほどの年配の女性のお客様がやってきて、男性に気が付かなかったのか、男性の前に並んでしまいました。

「男性は、くじ目当ての常連のお客様。相手が年配の女性だったので、まあいいやとそのまま順番を譲ったようなんです。しかし、そのあとに事件が起こりました」とAさんは語ります。

なんと、その年配の女性。自分の順番がくると、男性が購入しようとしていたものと、同じくじをオーダーしたのです。そして、引き当てたものは、店舗では1本しか出ないという特賞でした。

「当然、男性のお客様は面白くありません。最初は年配の女性に文句を言いたかったようなのですが、その方はすぐにお店から出て行ってしまい、行き場を失った彼の怒りは我々店員のほうに。

『割込みが見えていたなら、なぜ注意してくれなかったのか。おかげで当たっていたかもしれない特賞を逃したじゃないか』と、レジ前に立たされて、延々1時間ほど説教をされました…」とAさん。

「確かに割込みはいけません。目の前でお目当ての賞がでてしまって、悔しいのもわかります。でも、だからといって正論を振りかざして、延々と文句を言って営業妨害をするというのも、いかがなものでしょうか」