バイデン政権の誕生まで1カ月を切った。バイデン氏は女性や黒人、ヒスパニック系など人事面でもその多様性を全面に押し進めている。この脱トランプとも言える動きに、フランスやドイツなど欧州主要国は安堵している。
しかし、その国際協調や多様性は評価できるものだが、実際どこまでそれが上手く機能するかは別問題だ。バイデン政権は内政的にも外交的にも多くの難題に直面する可能性がある。
依然としてトランプ人気が根強い中の船出
まず、外交の前に立ちはだかるのが内政だ。
大統領選挙でバイデン氏の獲得票数は8000万票を超えたが、トランプ大統領も約7380万票となり、両者とも12年前にオバマ氏が記録した6950万票(歴代最多)を上回る結果となるだけでなく、トランプ氏は4年前に自身が獲得した票数6200万票から1000万票以上も増やしている。
米国の政治専門メディア「ポリティコ(Politico)」は11月下旬、2024年の米大統領選挙における共和党候補は誰がふさわしいかを問うアンケート調査を実施し、トランプ大統領が最も高い53パーセントの支持を集めたと発表した。
他の候補者では副大統領のペンス氏が12パーセント、トランプ氏の長男が8パーセントなどとなったが、依然としてトランプ人気は根強い。
また、新型コロナウイルスは依然として米国で猛威を振るっている。既に米国はその最大被害国となっており、2021年以降もその勢いが収まるかは分からない。今後のワクチン接種がどこまで機能するかにもよるだろうが、バイデン政権は第一にコロナ対策に従事することになる。