しかし、夫が在宅勤務になって2カ月ほど経過した頃から、少しずつAさん夫婦の間に変化が起き始めます。
「嫌だと思いながらも、在宅勤務指示が解除されなかったため、なんとか毎日やり過ごしていました。以前の夫は、毎日早朝に家を出て子どもが寝てから帰宅するような生活で、子どもと顔を合わせることってほとんどなかったんです。でも、仕事をしているとは言え夫が毎日家にいることで、子どもはすごく喜んでいました。当然、夫も子どもと接する時間が増えたので、一緒に遊んだり世話をしたりと、それまでの生活では考えられないようなことをしてくれるように…。すると、私の心に少しずつ余裕が生まれて、夫に対してイラつく回数も激減。夫が休憩がてらリビングに来たときも、自然と会話が生まれるようになっていました」
あれだけ一緒にいるのが嫌だと思っていた夫が家にいてくれることによって、自分の心に余裕が生まれたそう。そして、気づきもあったというのです。
「子どもが生まれてから、夫に対して正直がっかりすることばかりで、毎日イラつくことしかありませんでした。でも今回、在宅勤務になって、自分以外の大人が日中も家にいてくれることで心に余裕が生まれたんです。自然と夫へのイラつきも減っていって…。私は、子どもを産んでから自分のほうに余裕がなくなっていたんだと気づいたんです。相手に求めるばかりで申し訳なかったなと思ったのと同時に、もっと早く自分の“限界”に気づいていればよかったと感じました」
「コロナ離婚」という言葉まで生まれた世情ですが、もともと険悪な関係だった夫婦仲が良い方向へと転換したケースもあったようですね。