「老老介護」を上手に乗り切るために
では、当事者や家族が、上手に老老介護を乗り切るためのヒントについてみていきましょう。
訪問介護などの利用
在宅で、高齢者が誰にも頼らず介護をおこなうのは、たやすいことではありません。
「老老介護」自体を防ぐ、共倒れを防ぐ、といった観点からも、施設などの利用を検討することをおすすめします。
介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、グループホームなど、さまざまな種類の施設が存在するため、要介護者や家族との相性が良さそうな施設を探してみましょう。
「できるだけ在宅で面倒をみたい」ということであれば、訪問介護サービスやデイサービスなどを利用し、介護者の負担を軽減する方法をとると良いです。
子や親族と協力する
それでも「老老介護」をおこなうことになった場合、子どもや親族の協力は欠かせません。
高齢者にとって頼れる人や生きがい、支えとはいったいどんなものがあるのか、内閣府などの調査結果(※1,2)をみてみましょう。
<同居の家族以外に頼れる人>※最も多かった回答
- 「別居の家族・親族」:66.2%
<生きがいを感じる時>※最も多かった回答
- 「子どもや孫など家族との団らんの時」:46.9%
<心の支えとなっている人>
- 「配偶者あるいはパートナー」:65.3%
- 「子ども(養子を含む)」:57.4%
- 「孫」:17.9%
結果をみると、高齢者にとって、子どもや孫、親族の存在はとても大きな位置を占めていることがわかりました。
普段サポートするのが難しくても、定期的に家を訪れたり、いざというときに頼れたりするような環境を整えておくことは大切といえるでしょう。
さいごに
高齢者の増加に伴い、「夫婦のみの高齢者世帯」や「老老介護の当事者」は年々増えてきています。
介護にまつわるさまざまな問題のなかでも、共倒れなどの危険をはらむ「老老介護」は、とくにていねいなサポートが必要となります。
長引くコロナ禍で、高齢の親や祖父母になかなか会えていない人も多いのではないでしょうか。
子どや孫が心の支えとなっている高齢者も多いため、「直接」ではなくても、「電話やメール」などでコミュニケーションをとりながら、精神的なサポートをしてあげることをおすすめします。
【参考】
「統計からみた我が国の高齢者」総務省
「令和元年 国民生活基礎調査」厚生労働省
(※1)「第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」(平成27年)内閣府
※「頼れる人」 ※「生きがい」
(※2)「第7回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」(平成22年)内閣府
※「心の支え」
鈴木 咲季