マイホームを購入するときに多くの人が利用することになる住宅ローン。長い期間をかけて返済していく必要があるため、いったん人生の予定が狂うと、真っ先に影響が及びやすい部分であるともいえます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で家計状況が激変して、「返済ができなくなった」「家を売ることになった」といった深刻な事態に陥る人も出てきています。
今回は、世代ごとの住宅ローン残高や、これから住宅ローンを契約する場合に知っておくべきことをみていきます。
住宅ローンの利用者は増えている
さいしょに、国土交通省住宅局が2020年に公表した「民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書(2019年度版)」によると、2018年度の「新築住宅の建設・購入等に係る実績」「中古住宅の購入等に係る実績」はどちらも2017年度より増加しています。
「新築住宅の建設・購入等に係る実績」
- 2018年度・・・8兆6,874億円
- 2017年度・・・7兆7,247億円
「中古住宅の購入等に係る実績」
- 2018年度・・・2兆1,516億円
- 2017年度・・・1兆9,049億円
なかでも新築住宅向けローンの割合が増加していますが、そのぶん、コロナ禍における経済や雇用状況の悪化で返済に悩む人が増えている可能性はあります。
世代別「住宅ローンはいくら、残ってる?」
つぎに、総務省統計局の「家計調査(貯蓄・負債編)二人以上世帯(2019年)」をもとに、「住宅・土地のための負債」の現在高を年代別にみていきます。
世帯主の年齢階級別「住宅・土地のための負債」の1世帯当たり現在高
- 29歳以下・・・815万円
- 30~39歳・・・1,337万円
- 40~49歳・・・1,052万円
- 50~59歳・・・578万円
- 60~69歳・・・190万円
- 70歳以上・・・51万円
「住宅・土地のための負債」は30代で急激に増え、年代が上がるにつれて減っていくことがわかります。20代後半~30代前半でマイホームを購入して住宅ローンを契約する人が多いのでしょう。
住宅ローンは頭金なしでも組めますが、頭金があれば金融機関からの借入額を抑えられるので毎月の返済が楽になります。20代になって自分で稼げるようになったら、、住宅ローンの頭金が用意できるよう、コツコツ貯蓄を始めていくことをおすすめします。
返済できなくなったらどうなる?
住宅ローンの返済は何十年も続きます。借りた当初は返済できる予定でも、その後状況が変わることは珍しくありません。子どもができて共働きが難しくなったり、給料が想定ほど上がらなかったり…。私たちが今おかれているコロナ禍は、まさにその例でしょう。
住宅ローンの対象になる住まいには銀行の抵当権が設定されているため、完済するまでは自分の所有物ではありません。返済が遅れると直ちに金融機関から督促が届き、返済日の翌日から遅延損害金が発生します。
無断で滞納を続けると一括返済を求められるおそれもあるため、収入に大きな変化が起こった場合は金融機関にできるだけ早く相談しましょう。返済計画の見直しや支払い猶予などの対応をしてもらえる場合があります。
返済のめどが立たず、任意売却や競売でマイホームを売っても多額の借金が残ってしまう場合は、自己破産を申請して借金を帳消しにする方法も視野に入ってきます。
無理のない返済計画を立てる
住宅ローン破綻を防ぐためには、無理のない返済計画を立てることが何よりも大切です。
多くのライフイベントが待ち受ける20~30代のうちは、ギリギリの返済計画を立てないよう注意しましょう。とくに子育て世帯では教育費の積み立てを住宅ローンの返済と並行して進める必要があるため、余裕を持った返済計画が不可欠です。
住宅ローンではボーナス併用払いも選べますが、ボーナスがカットされるとたちまち返済が滞ります。ボーナスを使わなくても無理なく返済を続けられるプランを選ぶほうが安心です。
また、住宅ローン減税が使える期間はローン残高を無理に減らさないほうが節税になる場合があります。
※参考「住宅ローン減税制度の概要 すまい給付金」国土交通省
毎月の返済以外に必要となる「住まいの出費」
マイホームを買うことで発生する出費は住宅ローンだけではありません。
固定資産税
マンションと一戸建て住宅の所有者には固定資産税や都市計画税が課税されます。固定資産税は土地・建物の不動産評価額から算出される地方税です。建物に関しては耐用年数によって金額が変わります。
耐用年数は木造一戸建てで22年、鉄筋コンクリート造のマンションで47年として評価されるため、マンションでは長期にわたって固定資産税が高い状態が続きます。
管理費と修繕積立金
マンションを購入すると、通常管理費と修繕積立金が毎月発生します。管理費は共有部分の電気代や修理費、清掃費用などに当てられるもので、修繕積立金は将来の大規模修繕に備えるための貯金です。
駐車場代
駐車場代はマンションならではの出費です。マンションの駐車場を借りられる場合もありますが、自分で駐車場を探さなくてはならない場合も少なくありません。
修繕費
住宅は年数の経過に伴い、壁や水回りなど修理が必要になる部分も出てきます。とくに一戸建ての屋根や外壁の塗装は約10年周期ともいわれており、30代でマイホームを買った場合なら40代頃にまとまった修繕費やリフォーム代がかかってくる可能性があります。
総務省統計局の「家計消費状況調査年報(二人以上の世帯)2019年」から1世帯当たり1カ月間の住宅維持関連費を紹介します。
- 家屋に関する設備費・工事費・修理費・・・7,953円
- 給排水関係工事費・・・2,162円
- 庭・植木の手入れ代・・・521円
返済と並行して毎月1万円程度を目安に修繕やリフォーム用の資金を積み立てていく必要があるかもしれませんね。
40~50代は子どもの進学で教育資金がピークになる時期です。とくに大学進学には多額のお金がかかるため、子ども自身の希望も考慮しながら前もって学費を工面する方法を考えておきましょう。
老後資金も視野に入れて!
住宅ローンは定年になる前に完済することが望ましいといえますが、冒頭で紹介した総務省の資料によると60代や70代で住宅ローンを完済していない人も一定数いるようです。退職金で住宅ローンを一括返済するのもひとつの方法ですが、老後資金が不足する可能性についても考慮する必要があるでしょう。
購入時にはベストだと思っていた物件、返済の方法でも、長い人生のなかで見直しが必要になることもあります。住宅ローンで失敗しないためには、ローンの負担や教育費、老後の資金などのライフプランも考慮して無理のない返済計画を立てることがポイントになりそうです。
【参考】
「令和元年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」国土交通省住宅局
「家計調査(貯蓄・負債編)二人以上世帯(2019年)表8-5」総務省
「住宅ローン減税制度の概要 すまい給付金」国土交通省
「家計消費状況調査年報(二人以上の世帯)2019年」総務省統計局
LIMO編集部