支出

一方、高齢単身無職世帯の1カ月の平均消費支出は139,739円。先ほどの可処分所得との差額27,090円が不足分で、それを貯蓄から取り崩すことになります。

支出の内訳は図表1の通り。高齢夫婦無職世帯と比較すると、単身世帯の場合は住居費や光熱・水道費の構成比が高くなることがわかります。

また、高齢単身無職世帯の毎月の不足分27,090円を年額にすると33万円弱。人生100年と言われる今、ざっくり65歳から老後30年とすると約975万円となります。言い換えれば、少なくともそれくらいの貯蓄は必要というわけです。

なお、仮に60歳で定年退職になり、65歳で年金受給が開始されるまで何らかの収入がないとしたら、その時期の生活費も蓄えておく必要があることにも注意が必要です。

図表1:高齢単身無職世帯及び高齢夫婦無職世帯の消費支出内訳(2019年)

出所:「家計調査報告 [家計収支編] 2019年(令和元年)平均結果の概要」(総務省)

夫や妻が亡くなったときには「遺族年金」が支給される

冒頭で未婚化・非婚化が進んでいると述べましたが、夫婦であっても年を取れば配偶者に先立たれて単身になる場合もあります。そんなとき、年金加入者の遺族に支給されるのが遺族年金です。老齢年金とは異なり、条件を満たせば65歳を待たずに支給されます。

遺族年金がもらえるのは、基本的に年金加入者に生計を維持されていた遺族(受給対象者の年収は850万円未満)のみです。ほかにも、受給資格期間や保険料納付済期間などの諸条件を満たさなければなりません。また、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。