新型コロナウイルスの初感染が中国・武漢で確認されて、今月8日でちょうど1年となった。

1年前、日本ではオリンピックイヤーが来ると社会が盛り上がっていたように思う。まさか五輪が延期となり、世界が新型コロナウイルスと対峙することになるとは当時誰が予想しただろうか。現在、日本でも第3波となり、各国政府とも国内事情で精一杯のところだ。

日米豪印の対中関係に起きた大きな変化

しかし、国際社会において、新型コロナウイルスの医学的感染だけでなく、政治的空白をも拡大させている。

1つに、今年の入っての新型コロナウイルスはインド太平洋地域の国家間関係を大きく変化させた。感染源国とされる中国と最大被害国となってしまった米国との対立はこれまでになく深まり、香港国家安全維持法や印中国境での衝突なども影響し、オーストラリアやインドと中国との関係は大きく悪化した。

オーストラリアやインドはこれまでになく米国や日本に接近し、安全保障上のクアッド協力はいっそう加速化している。最近行われた日米印の海上合同軍事演習マラバールにはオーストラリアも参加した。これまでインドは中国への配慮もあり、オーストラリアの参加要請を断ってきたが、既にインドの中国への堪忍袋の緒は切れた状態だ。

また、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、オーストラリアのモリソン首相は日本を訪問し、菅総理と会談して日豪の安全保障協力をいっそう強化することで一致した。これらは大きな変化であり、新型コロナウイルスは「日米豪印 vs. 中国」の動きを加速化させた。