退職金はどのくらい貰えるのか?

東京都産業労働局が行った調査「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」によると、定年時のモデル退職金(大学卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)は「1,203.4万円」であることが分かっています。もちろん、勤続年数・収入額・勤めている会社によってその金額は大きく変動してくるものですが、約1,200万円もの退職金がもらえるとなると、先ほどの600万円と合算し、少し安心できるのではないかと思います。

しかしながら気をつけてほしいのは、勤めている会社にしっかりと退職金制度があるのかどうか、ということです。同調査によると、中小企業の約25%は退職金制度がないということも明らかになっています。退職金制度がしっかりあるのか否か、そしておよそどれくらいの額がもらえるのかなど、あらかじめ確認しておくことで今後必要となってくる貯蓄額も明らかになってきます。早め早めからそれらの情報をしっかりとおさえておくことが大切なのです。

年金はどのくらい貰えるのか?

さて、退職金とそれまでの貯蓄額でおよそ2,000万円弱となった老後資金ですが、果たして退職後、年金はいくらもらえるのでしょうか。

厚生労働省が2020年1月に発表した「令和2年度の年金額改定について」によると、夫が平均的な収入(平均標準報酬(賞与を含む月額換算)が43.9万円)で40年間就業し、妻が40年間専業主婦であった世帯が受け取り始める時点の年金の給付水準は「220,724円」であることが明らかになっています。この年金は、夫の厚生年金+夫と妻の国民年金という構成での金額であるため、夫の収入額や保険料の納付月数、また保険料を滞りなく支払い国民年金を満額需給できるか否かによっても大きく変動する数値ではありますが、おおよそのモデル給付額として示されています。

共働きで夫婦ともに厚生年金の受給資格がある場合は、さらに受給額も大幅にあがるため、老後の生活資金としてはゆとりのある金額となってきます。一方で自営業者と専業主婦の妻、というように国民年金にのみ加入している世帯をみてみましょう。先ほどの厚生労働省の発表によると令和二年度の国民年金の満額需給額は、1人あたり65,141円となるため、世帯で計算でも約13万円しか年金を受け取ることができません。

もちろん自営業者には退職という概念がないので、働き続けることで老後も資金を増やし続けることができますが、その世帯がどのような年金受給の体系になるかによって、必要な貯蓄額も大きく変わってくるといえるでしょう。