その典型例の1つが、金融機関(主に信託銀行やメガバンク等)の“退職者向け特別プラン”という類の金融商品です。これは、支払調書などで退職金であることが証明された資金に対し、優遇金利や無料相談などを提供し、資金預入に結び付けるサービスを指します。

金融機関による特別キャンペーンは、夏季・冬季の賞与支給時にも多く実施されますが、退職金向けの特別キャンペーンはそれを大きく上回る好条件になっているケースがほとんどです。

「3カ月定期預金が年7.00%(税引前)」はこの上なく魅力的だが…

それでは、その商品(サービス)を具体的に見てみましょう。

一例として、ある大手信託銀行が提供する商品(キャンペーン)を取り上げることにします。その商品は「退職金特別プラン~退職者とそのご家族限定」というネット広告で、様々なところで見ることができます。そこからHPにアクセスすると、「定期預金コース」と「投資運用コース」の2つが紹介されます。以下、見出しの抜粋です。

  • 定期預金コース:スーパー定期3カ月 年0.80%、新型定期預金3年 年0.20%
  • 投資運用コース:スーパー定期3カ月<運用50タイプ> 年7.00%、<運用20タイプ> 年2.40%

この中で断トツに目を引くのが、何と言っても投資運用コースの「スーパー定期3カ月<運用50タイプ> 年7.00%」でしょう。3カ月限定とはいえ、年7.00%(税引後5.577%)です!

現在、スーパー定期と大口定期の金利は預入期間・金額に関係なく年0.002%(税引後0.00159%)です。つまり、たとえば1,000万円預けても利息が年160円弱(税引後)しか付きません。もう金利とは呼べない水準まで低下しているのが実情なのです。

それが、わずか3カ月で約137,539円(税引後、注)も利息が付くとは、にわかには信じられない商品です。

注:1,000万円×7.00%×(90日÷365日)=172,602円 172,602円-35,063円(税金)=137,539円