サラリーマンがまとまったお金を一度に手にする機会、それは多くの場合、退職金(正確には退職一時金、以下「退職金」)をもらうときではないでしょうか。

退職金はその後の生活を左右する重要なお金

2000年代以降、企業の退職給付制度の見直し・多様化により、必ずしも退職時にまとまった金額を手にするというわけではなくなりました(退職金の分割前払い制度など)。それでも定年を含めて長期間勤め上げた人には、退職金が今後の生活を左右する重要な財源になることは間違いありません。

また、定年を待たずに早期退職を適用した人にとっても同じ状況と言えるでしょう。特に今年は、一連のコロナ禍の影響により、年内一杯で退職する人は例年以上に多いと考えられます。

退職金の額は、職種、勤務期間、勤務時の待遇面、勤務先の業績など様々な要因で異なるため、支給される金額は数百万円~数千万円と幅広くなります。しかし、絶対金額の大小にかかわらず、その人その人にとって極めて大きな金額であることは確かです。

ほとんどの人にとって、退職金の受領は、人生で「最大」の金額を手にする「最後」の機会と言っていいでしょう。

退職金を標的とする金融機関の商品・サービスは多い

したがって、この退職金の使用・活用は、慎重の上にも慎重を期すべきであることは言うまでもありません。ギャンブルや無計画の浪費は論外であり、リスクの高い投機的な投資も避けるべきです。

確かに、65歳など一定年齢に達すると多くの人は(退職金とは別に)年金を受給できます。しかし、ある程度の余裕がある老後生活を過ごすためには、それだけで十分でないことは、昨年大きな話題となった「老後の2,000万円不足問題」を持ち出すまでもなく明らかではないでしょうか。

ところが、世の中には、そうした退職金に焦点を当てたビジネスが数多くあります。ビジネスということは、相手が利益獲得を目的にしていることであり、言い換えれば、重要な退職金が“標的”にされていることを意味します。