しかし、購入した投資信託が値下がりすれば、その得た利息額は一気に吹き飛ぶどころか、その何倍もの評価損失(あるいは実現損失)を抱え込む可能性があります。目先3カ月間の高金利に魅せられたため、結果的には大切な退職金を大幅に減らすリスクがあるのです。
株高の今こそ、退職金によるリスク金融資産購入には要注意
もちろん、購入した投資信託が値上がりすれば、定期預金の高額利息の何倍ものリターンを得る可能性もあります。こうしたリスクを承知の上で、老後の生活を見据えて退職金をさらに増加する方法を選択するかどうかは、まさしく“自己責任”となりましょう。
もう一度言いますが、投資信託は元本保証でないリスク金融商品です。特に、昨今のような株式相場上昇時には一層の注意が必要です。
今年3月のコロナ暴落時、投資信託は軒並み値下がりして、半減以下になった商品も決して少なくありませんでした。わずか9カ月前のことですが、その後の株高で忘れてしまった人も多いように思われます。あの時、泣きながら下落した投資信託を解約した人は決して少なくなかったと推察できます。
金融機関へ相談するときには「カモネギ」になるな
そうは言っても、人生で最後に手にする多額のお金です。退職金の運用方法などで金融機関にアドバイスを求めたい人も多いと思われます。筆者も決して反対しません。
ただ、何の予備知識も持たず、“全てお任せします”というスタンスで相談しに行くのは絶対に止めるべきです。それは、金融機関から見れば典型的な「カモネギ」(鴨がネギを背負ってやって来る)になるからです。
最後にもう一言だけ言わせて下さい。退職金は人生で最後にもらうまとまった金額です。次はありません。失敗は許されないのです。
葛西 裕一