年金の官と民間の比較
ここまで公務員独自の制度をご紹介してきました。
最後に平成29年人事院の「退職給付水準の官民比較」から民間と国家公務員の退職給付額を比較したものをご紹介します。
民間 2459万6000円
内訳
- 企業年金現価額 1453万5000円
- 退職一時金 1006万2000円
公務 2537万7000円
内訳
- 共済年金給付現価額 223万6000円
- 退職手当 2314万1000円
となっており、人事院は「公務が民間を78万1000円(3.08%)上回っている。官民均衡の観点から、国家公務員の退職給付水準について見直しを行うことが適切である。」との見解を示しています。
まとめにかえて
冒頭でも触れましたが、企業年金や旧職域年金、年金払い退職給付などはどの勤め先にでもある制度ではなく、大企業や公務員の特権ともいえる3階建て部分です。
中小企業庁によると日本の企業のうち大企業に分類される割合は0.3%ですので、官民格差の是正を目指してはいますが、大多数の一般企業に勤める方と比べると退職金の金額の大きさや3階建て部分の年金など全体を鑑みると公務員の受け取る老後資金は手厚いといえそうです。
とはいえ、今は働き方も多様化し、転職や独立なども昔に比べるとめずらしいことではなくなっています。
「備えあれば憂いなし」ということわざがあるように、これからどんな岐路が訪れるかは誰にも分かりません。
勤め先の制度を頼りにするだけではなく個人でも老後に向けての備えをしておくことが求められる時代なのかもしれません。
参考資料
- 地方公務員共済組合連合会「公的年金制度の概要等」
- 被用者保険年金一元化パンフレット
- 令和2年10月人事院―給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント―
- 令和2年版厚生労働白書
- 令和元年12月厚生労働省年金局「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概要」
- 中小企業庁
- 人事院「民間の退職金及び企業年金の調査結果並びに国家公務員の退職給付に係る本院の見解の概要 平成29年4月人事院」
尾崎 絵実