ブラック企業という言葉が日常的に使われるようになって久しくなりました。中にはハラスメントの横行や残業時間の改ざんを強要するなど、とんでもないブラック企業もあるようです。今回は、そんな企業に勤めていたという人たちに、心を削られた出来事について聞いてみました。

出勤簿は上司の手にゆだねられる

「出勤簿は締め日の前日には上司にデータで送る必要があって、そこで書き換えられるのが常態化していた」というのは、システムエンジニアの仕事をしている20代のAさんです。

「出勤簿を部長が預かり、課の全員分プリントアウトして人事に提出していたのを見たので、入社した月の締め日にExcelのシートを自分でプリントアウトして提出した。そうしたら部長に『二度とやるな、Excelシートのデータのまま寄越せ』と言われてびっくりした。よかれと思ってプリントアウトしたけれど、そうするとデータの書き換えができないからNGなのだと知ったのはそのあと」と振り返ります。

「そのため、実際の残業が60時間であっても給与明細には29時間と記載されていた。そのうちにExcelで自動計算される合計残業時間の欄を30時間未満にするのが当たり前になってきて、29.5時間とか29時間とかギリギリに調整して出すのが暗黙のルールと化していた」のだそう。

「でも、大学の後輩と飲んでいたときにその暗黙のルールについて笑いながら話したら『なんで辞めないんですか? どんなに残業してもお金もらえないのに』と言われて何かが崩れた。いまは転職して普通の職場にいる。人が適切に配置されているから残業も少ないし、会社に行くのが憂うつでなくなった」とAさん。