9月11日は東日本大震災から5年半が経過
先の9月11日は、2001年に起きた米国同時多発テロ事件から15年の節目に当たる日でした。あの日、テレビで見た衝撃的なシーンを今もよく覚えている人も多いでしょう。あれから15年が過ぎ、月日が流れる早さを感じずにはいられません。
また、9月11日は、東日本大震災から5年半が経った日でもあります。何周年という特別な追悼はありませんでしたが、テレビでは相応の特集番組を放映していました。改めて、多くの亡くなられた方々のご冥福をお祈りせずにはいられません。
東日本大震災と阪神淡路大震災の違い
ところで、東日本大震災が起きる16年前の1995年1月には、阪神淡路大震災が発生しています。戦後の日本で起きた地震の中で、極めて甚大な被害を与えたという意味では、この2つがあげられるでしょう。死者行方不明者は、阪神淡路大震災が約6,500人弱、東日本大震災が約18,400人(注:震災関連死を含まず)となっており、多くの尊い人命が失われました。
しかし、両地震による死者の内訳は大きく異なります。阪神淡路大震災では80%以上が倒壊した建物の下敷きになった圧死であり、約10%が火災による焼死とされています。一方、東日本大震災では、ご存知の通り、90%以上が津波による溺死です。つまり、東日本大震災では、倒壊した建物による死因は非常に少なかったことが特徴なのです。
確かに、今思い返しても、東日本大震災でビルが倒壊したり、建物が壊滅的になったりしたシーンは少なかったように記憶しています。東京都心部でも、老朽化した講堂の屋根が落下した等を除くと、建物や構築物に大きな被害はありませんでした。被災地で街並みが壊滅的になったのは、その多くが津波によるものです。これは、阪神淡路大震災との大きな違いです。
阪神淡路大震災後に耐震構造が大幅に強化された
実際、多くの建物や構築物が倒壊した阪神淡路大震災を教訓として、新築の建物は言うまでもなく、既存の建物や構築物にも耐震構造が施されました。この耐震構造の強化は、結果として、東日本大震災で大きな効果を示したと考えられます。
見方を変えれば、阪神淡路大震災で亡くなった人々のお蔭で、東日本大震災では多くの命が救われたとも言えるでしょう。
免震ゴムや防振ゴムは耐震補強の代表例
その耐震構造強化には様々な施策がありますが、代表例の1つが免震ゴム・防振ゴム装置です。細かい仕組みは省略しますが、ゴムと鋼板を何層にも組み合わせることで震災による揺れを吸収します。
地震に対しては非常に大きな効果をもたらし、阪神淡路大震災以降、急速に普及が拡大しました。現在では、大量のゴムを取り扱うタイヤメーカーの重要な事業になっています。
東洋ゴム工業の性能データ改ざん問題から既に1年半
さて、そのタイヤメーカーの1社である東洋ゴム工業(5105)の免震ゴムに関し、性能データの改ざんや、不良品の出荷が行われていたことが明るみに出た2015年3月から既に1年半が経過しました。その後、2015年10月には防振ゴムでも同様のデータ改ざんが明らかになっています。
これら問題となった製品は、多くの地方自治体やJR各社を始めとする企業に納入されていたため、大きな社会問題となり、株主訴訟が提起されるなど、今も完全解決には至っていません。
2015年秋以降、VW社(独)のディーゼルエンジンの排ガス不正問題、三菱自動車の燃費性能データ改ざん、スズキの不適切な燃費測定問題など、自動車業界には偽装の問題が絶えません。しかし、思い返すと、この東洋ゴム工業の免震・防振ゴムのデータ改ざんから始まったとも言えます。
こうした不正問題が2度と起きないように、徹底的な問題解決を望みたいと思います。
LIMO編集部