俳優の天海祐希さんが主演の映画「老後の資金がありません」が昨今の新型コロナウイルスの影響で来年まで公開延期となりました。

パート勤務の50歳代の主人公が子供の結婚、夫の失業、姑の浪費に四苦八苦しながら老後の生活資金2,000万円のために奮闘する映画が制作された背景には、老後資金を不安に思う人が実際に多いことが伺えます。

とはいえ、私たちの老後資金の柱となるのはやはり「年金」です。

そこで今回は、厚生年金と国民年金をわたしたちは定年後にいくらもらえるのかをみていきたいと思います。

サラリーマンの厚生年金収入はいくらか

まずは厚生年金の平均受給額についてみていきたいと思います。

厚生労働省発表の「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)受給者の老齢年金の平均年金月額は平成30年度末現在で14万6千円です。過去5年間の推移は以下のとおりです。

厚生年金保険(第1号)受給者平均年金月額の推移

  • 平成26年度:147,513円
  • 平成27年度:147,872円
  • 平成28年度:147,927円
  • 平成29年度:147,051円
  • 平成30年度:145,865円

フリーランス(自営業者)の国民年金収入はいくらか

続いて国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は平成30年度末現在で5万6千円です。過去5年間の推移は以下の通りです。

国民年金受給者の平均年金月額の推移(老齢年金25年以上)

  • 平成26年度:54,497円
  • 平成27年度:55,244円
  • 平成28年度:55,464円
  • 平成29年度:55,615円
  • 平成30年度:55,809円

年齢別の厚生年金、国民年金収入はいくらか

次に年金受給権者の年齢別の平均年金月額をみていきたいと思います。

厚生年金の年齢別平均年金月額

  • 60歳~64歳:79,135円(特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分のみ)
  • 65歳~69歳:144,521円
  • 70歳~74歳:146,813円
  • 75歳~79歳:153,816円
  • 80歳~84歳:161,663円
  • 85歳~89歳:164,831円
  • 90歳以上:160,367円

国民年金の年齢別平均年金月額

  • 60歳~64歳:41,790円 (繰上げ支給を選択した者)
  • 65歳~69歳:56,831円
  • 70歳~74歳:56,429円
  • 75歳~79歳:55,972円
  • 80歳~84歳:56,336円
  • 85歳~89歳:54,708円
  • 90歳以上:47,803円

国民年金は世代別でもあまり大きな金額差はありませんが、厚生年金は世代別で金額に差が生じています。

特に75歳以降の受給額が74歳以下より多いのは、昭和21年4月1日以前に生まれた人は誕生年ごとに異なる乗率を掛けて年金支給額が決まっているためです。

この乗率は生まれが遅くなるほど低くなり、昭和21年4月2日以降の生まれで一定になります。

年金は受給額に応じて所得税と住民税がかかる

皆様はご存知でしたでしょうか。実は、老齢年金にも税金はかかります。これは確定拠出年金やイデコ(個人型確定拠出年金)にも同じようなことが言えます。

例えば65歳以上の人で公的年金以外に収入のない人が、公的年金等を厚生年金の全国平均金額である14万6千円(年間175万2千円)受け取ると、「公的年金等控除額」として110万円控除されます。

さらに「基礎控除」や「社会保険料控除」、「医療費控除」等を差し引いた課税所得に対し、5.105%を乗じた金額が課税されます。

この公的年金等控除額は受給年金額や年齢によって変わります。

ですので、受給年金額が多い人は税金のことを考えると手取りの金額は前述の平均年金額よりも少なくなってしまうでしょう。

さらに、最近話題に上がることが増えた年金の繰下げ受給ですが、これも受給年金を遅らせることによって受給額が増える制度ではありますが、受給額を増やすと税負担や医療保険料、介護保険料などの社会保険料も増加する場合があるのでそれも踏まえて受給のタイミングを決める必要があります。

今はたらく世代の私たちが老後に向けてできることは

ここまで厚生年金、国民年金の受給額についてみてきましたが、この金額はあくまでもすでに受け取っている世代の金額です。

私たちはたらく世代がいくら貰えるのかは今後の情勢によっても変わってくることが予想されるため、はっきりとしたことはわかりません。

そこで私たちが参考にすべきものの1つに「ねんきん定期便」があります。

特に厚生年金は人によって受給額が異なるため、この「ねんきん定期便が」届いたタイミングで自分の年金額を確認するようにすると良いでしょう。

しかし、残念ながら「ねんきん定期便」を眺めているだけでは将来の年金額は増えません。

少しでも将来の老後生活にゆとりをもたせたいという人は、はたらく世代の今から老後に向けた準備を始める必要があります。

例えば最近人気の「イデコ」や「つみたてニーサ」のように長期分散積立ができる制度を利用して投資信託で資産運用をコツコツ始める、あるいは家族がいて「保障と投資のバランス」をとりながら資産形成したい人は貯蓄型の「終身保険」や「変額保険」で運用すると効率的です。

ただし、これらはいずれも元本保証のない金融商品になるため、始める前には運用のプロからアドバイスを受けて始める方が安心して始められるでしょう。

おわりにかえて

おそらく今後日本において労働人口が増加することは難しいと言わざるをえません。

1961年、国民皆年金制度が始まった当初は、65歳以上の高齢者1人を現役世代が9人で支える「胴上げ型」でした。

しかし、現在は、現役世代およそ2人で1人を支えている「騎馬戦型」です。さらに2053年にはこれが現役およそ1人で高齢者1人を支える「肩車型」の社会が訪れます。

金融庁が昨年「老後2000万円問題」のレポートを公表し、老後の資産形成を呼びかけた理由が分かる気がしますね。

ゆとりのある老後のために、今から少しずつでも運用の力を利用して資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料