キャロライナさんは、「顔の傷は永久に残り、また精神的にも大きな影響を受けた」と言います。また、2014年には、キャロライナさんの事件当時の年齢、つまり7歳の女の子が同様の被害に遭っています。
その時18歳になっていたキャロライナさんは、日刊紙『ニュージーランドヘラルド』紙からこの事件に対するコメントを求められ、まだ野放しになっている危ない犬種を取り締まるべきと話しています。
一方、モアヴェニ医師は法改正で取り締まる犬種を増やしても、あまり意味はないのではないかと法改正に疑問を持っています。結局はどんな種であっても絶対攻撃的にならないという保証はないというのです。
このへんのところを獣医に尋ねてみますと、それまで犬がどのように人間に扱われてきたかが、犬の行動に反映されるということでした。
「ドッグ・コントロール法1996年」では、地方自治体と飼い主が犬の管理について各々責任を負うことが決められています。地方自治体は犬をリードから離し、のびのびと走り回れる場所や時間を確保しています。中には、犬専用の「ドッグパーク」を整備しているところもあります。
また、犬のトレーニングスクールも数多くあり、飼い主は犬がまだ子犬の時に参加し、専門家にしつけを徹底してもらいます。スクールでは、とびぬけて恥ずかしがり屋だったり、よく吠えたりと問題がある犬の特別訓練も行われています。
また人間側にも教育が必要と、キッズ・セーフ・ウィズ・ドッグというグループなどは、学校を訪問して、子どもたちに直接、犬と安全に接する方法を教えたり、保護者や教師に子どもを守ってもらうための方法を身に付けてもらったりし、犬にかまれる事故が起こらないよう尽力しています。
犬にかまれる事故を減らすための第一歩は教育にありそうです。それも犬だけでも人間だけでもだめ。共に楽しい暮らしを送るためには、犬にも人間にも努力が求められています。
クローディアー 真理