年齢別では、5歳以下の子どもの割合が最も高く、5~9歳が続きます。子どもたちは主に頭や首に、大人の場合は上肢・下肢にけがを負うことが多いそうです。つまり、子どもの方が大人よりはるかに深刻で、命を落としかねないけがを負うというわけなのです。
1年間に犬にかまれた人は約1万4000人
ニュージーランドには、アクシデント・コンペンセーション・コーポレーション(ACC)という事故補償制度があります。対象は、ニュージーランド人、海外からの旅行者の両方で、国内で突発的にけがをした場合の医療費をカバーするものです。
ACCの統計によれば、2016年1年間に犬にかまれるけがをしたという請求は 約1万4000件 。 また同年1年間で犬によるけがに対し、ACCが支払った額は400万NZドル(約3億円)近くに及んだそうです。
2001年からの請求件数を追ってみると、2003年に約8000件といったん減少しましたが、その後は増加の一途をたどっています。 2006年には初めて1万件を上回り、 約1万400件に。2012年には約1万2060件、2015年には約1万3100件といった具合です。
この研究を行ったオークランド市内のミドルモア病院に勤務する形成外科医のザック・モアヴェニ医師は、病院では毎日のように犬にかまれた人の手当てをしていると、オークランドの地方紙『ニュージーランド・ヘラルド』に話しています。
ちなみに、ニュージーランドとは環境が異なるので単純比較はできませんが、参考までに日本の場合を記すと、環境省の統計での犬による咬傷事故件数(全国計)は平成30年度で4249件でした。
犬種の指定をめぐる議論
国内には犬の管理方法や違反した場合の刑などを定めた、「ドッグ・コントロール法1996年」があります。この法律は2003年、当時7歳だったキャロライナ・アンダーソンさんがアメリカン・スタッフォードシャー・テリアに襲われたのを機に修正され、特定の犬種の輸入禁止、「危険」とされる犬種、「人間に害を及ぼす」とされる犬種が指定されました。