2019年に話題を集めた金融審議会の「老後2,000万円問題」(※1)で、「公的年金だけでは足りない」ことを改めて考えた方もいることでしょう。高齢夫婦二人の世帯において、毎月の生活費の不足額は約5万円と推計されました。
つまり20年で約1,300万円、長生きして老後30年だとしたら約2,000万円が必要になります。退職が迫った50代の世帯では、どのくらい貯めているものなのでしょうか。また、ある程度の貯蓄と年金があればいいのでは?本当に足りないのだろうか…という疑問点についても各種データから考えてみます。
50代で貯蓄2,000万円を達成している世帯の割合
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2019年(令和元年)平均結果―(二人以上の世帯)」から、資産状況を見てみましょう。
《全世代(二人以上世帯)》
- 平均貯蓄額:1,755万円
- 負債現在高:570万円
《50~59歳の世帯(二人以上世帯)》
- 貯蓄現在高:1,704万円
- 負債現在高:652万円(負債を抱えている世帯の割合:55.3%)
- 年間収入:852万円
50代の貯蓄額は全体平均よりも50万円ほど低く、しかも負債は大きいことが分かります。住宅ローンなどの返済が影響していると考えられ、貯蓄から負債を引いた差額(純貯蓄額)は約1,000万円です。定年になれば退職金が手に入りますが、50代の世帯の中ですでに貯蓄2,000万円を達成している世帯は何割くらいいるのでしょうか。