最近、安全保障面でのインドの姿勢が大きく変化している。

米国のポンペオ国務長官とエスパー国防長官は10月下旬にインドを訪問し、外務防衛のいわゆる2プラス2会合を開催した。会談後、両国は衛星や地図データ等の機密情報を共有するなど防衛協力を深める協定に署名し、対中国で協力を強化していくことで一致した。

また、インド国防省も最近になって、日米印による合同軍事演習「マラバール」にオーストラリアが参加することを発表した。こういったインドの姿勢はこれまでには見られなかったもので、明らかに“対米接近、対中離反”を図っている。

インド・モディ首相の対中不信が決定的に

モディ首相は以前にインド太平洋構想について、「排他的なものであってはならない」との姿勢を示し、2017年にはマラバールへの参加を打診したオーストラリアの要請を拒否したことがある。その当時は経済的側面から中国に対する配慮があった。

しかし、時が経つにつれ、その態度にも徐々に変化が見えるようになった。

たとえば、去年の4月〜5月にかけて実施されたインド総選挙で圧勝したモディ首相は、第2次政権最初の外遊先としてインド洋のモルディブとスリランカを訪れたが、その背景には両国やインド洋で影響力を高める中国への警戒心があった。

中国は、モルディブとスリランカだけでなく、同じくインド洋に面するミャンマーやパキスタンへも経済協力を武器にテコ入れを強化しており、モディ首相はインドを包囲するかのような中国の外交手法「真珠の首飾り戦略」に不信感を強めてきた。