そして今年6月、印中国境での両軍の衝突によってインド兵士20人が死亡した出来事は、モディ首相の対中不信を決定的なものにした。
印中国境付近で犠牲者が出るのは45年ぶりだが、その後、インドはティックトックやウェイボーなど中国企業が運営する59のアプリ使用を禁止すると発表し、モディ首相が2015年4月から使ってきたウェイボーのアカウントも削除された。
日印の二国間安全保障協力強化への期待
日本や米国は以前からインドの安全保障上の重要性を認識し、インドへの接近を図ってきたが、思うように物事が進まなかったことも少なくない。
しかし、オーストラリアのマラバールへの参加、米印の防衛協定調印はこれまでになかった大きな変化であり、日本もインドとの間で二国間の安全保障協力をさらに強化できることだろう。
また、最近日本のメディアでも大きく取り上げられている「自由で開かれたインド太平洋構想」では、その戦略的要衝の1つがASEANである。ASEANは日本とインドのほぼ中間にあり、ASEAN地域の安全保障でも両国が協力できることが多いはずだ。
和田 大樹