今は雇用を守るべき〜中小企業向け給付金打ち切りが危険な理由

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「新陳代謝促進」のために中小企業給付金を止めるべきだとする論者がいるようですが、ゾンビ企業の淘汰は景気を悪化させ、新陳代謝を阻害しかねない、と筆者(塚崎公義)は考えています。

財務省は中小企業支援の一部を打ち切る方向

財務省の審議会では「支援によって不振な中小企業を延命させるのではなく、企業の新陳代謝を促進すべきだ」という意見が多く出たと言われています 。中小企業への支援の一部である給付金を、1月末の期限で打ち切りにしよう、というわけです。緊縮財政派である財務省は、そうした方針に沿って動くのでしょう。

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しかし筆者は、給付金の打ち切りに反対で、不況が終わるまで給付金の支給を続けて、ゾンビ企業を含めて延命させるべきだ、と考えています。その理由について「不況期にはゾンビ企業も役に立つ」「ゾンビだけが死ぬわけではない」「景気悪化で新興企業が倒れる」という3つの点から論じてみましょう。

ちなみに本稿ではゾンビ企業という言葉を「非効率な経営で赤字を続けており、景気が回復しても補助金等がなければ生き残れない企業」という意味で用いることとします。

不況期にはゾンビ企業は邪魔にならない

新陳代謝論者は「ゾンビ企業が淘汰されることで、ゾンビ企業から新興企業へ労働力等が移動することが可能になる」と主張しますが、そんなことはありません。

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塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。
現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。
(近著)
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(雑誌寄稿等)
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