現在のような不況期には失業者が大勢いるのですから、新興企業が労働者を雇おうと思ったら失業者を雇えば良いので、わざわざゾンビ企業を淘汰する必要などありません。不況期には、ゾンビ企業は「新陳代謝を妨げている邪魔な存在」などではないのです。

経済学者の中には失業のことを気にしない人が多いのですが、彼らは現実を見つめていないため、「理路整然と間違えている」のだと「現実を見つめる勘ピューター」である景気予想屋は考えているわけです(笑)。

ゾンビだけが死ぬわけではない

給付金を受け取っているのがゾンビ企業だけであれば、まだ良いのですが、実際には効率的な企業であっても需要が落ち込んでいるために給付金を受け取っているところは決して少なくありません。

通常の不況であれば、非効率なところから順番に淘汰されていくという面はあるのでしょうが、新型コロナ不況の場合には効率性と無関係に業種によって淘汰されてしまうわけです。

たとえば効率的な経営をしている旅館であっても、人々が新型コロナを恐れて旅行に行かなければ淘汰されてしまいます。そうなれば、旅館は取り壊され、備品は二束三文で叩き売られ、ノウハウや信用や顧客リストといった無形資産は雲散霧消してしまいます。

これは日本経済にとって極めてもったいない話です。新型コロナが収束してから旅館を再び立ち上げようとすれば、非常に大きなコストと労力が必要になるでしょう。そんなことにならないように、効率的な旅館の倒産は何としても防がなければならないのです。